用語解説


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溶接方向治具(B)TIG溶接金属凝固割れ熱影響部液化割れ溶接方向クレータ試験片曲げ瞬間のプール位置バレストレイン試験とは、母材および溶接金属の耐高温割れ性評価方法の1種で、溶接中の試験片を瞬間的に塑性曲げして強制的に高温割れを発生させる方法です。主に高張力鋼や非鉄金属の高温割れの研究に用いられる試験です。本試験方法の概略および評価方法を以下に示します。所定の形状に加工した試験片の一端を図1のように治具に固定し、溶加材なしのTIG溶接アークで溶融溶接を行いその途中、試験片の他端を衝撃的に押し下げて曲げ半径(R)の冶具(B)の表面に密着させます。この時、試験片表面の曲げ歪(Ε)は、試験片の板厚(T)と治具の曲げ半径からΕ=(T/2R)×100(%)と表記でき、これを付加歪と定義します。次に歪を加えた部分の溶接金属内に発生した凝固割れと、溶接熱影響部に発生した液化割れ(再熱割れ)のそれぞれの長さを測定します(図2参照)。曲げ冶具の半径をいろいろ取り替え付加歪を変化させて試験を実施し、得られた結果を横軸に付加歪、縦軸に割れの合計長さでプロットすると割れの合計長さは歪の増加とともに増大していきます。つまり、同じ付加歪条件で比較した場合には、割れ合計長さが小さいほど材料の凝固過程における耐高温割れ性が優れていると評価できます。この方法では、付加歪の少ないうちは熱影響部の液化割れ(再熱割れ)のみが発生し、歪をかなり大きくしないとビード中央部の凝固割れが発生しません。実際の溶接における高温割れは、ビード中央部の凝固割れが多いことからトランスバレストレイン試験と呼ばれる横曲げ形式の方法も用いられています。この試験方法は、図1と同様ですがTIG溶接をバレストレイン試験の場合に対して直角方向に行う点が異なっています。また、この他にもアーク点を移動させずに行うスポットバレストレイン試験という方法も実施されています。バレストレイン試験を用いた高温割れの研究は数多くの鋼種で実施されており、高強度になるほどまた不純物含有量が多くなるほど割れやすい傾向にあり、オーステナイト系ステンレス鋼においては、組織中のフェライト含有量が多くなるほど耐高温割れ性が良好になることも示されています。(1998年9月号)バレストレイン試験図2ビード表面で見た高温割れ摸式図図1試験方法の概略225


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