新 銘柄のおはなし


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350〜800350〜500500〜700150〜500200〜400600〜800800〜1200今回は硬化肉盛、鋳鉄用被覆アーク溶接棒の銘柄の由来をお話しします。肉盛は求められる硬さ、特性に応じ様々な銘柄がラインナップされています。鋳鉄(鋳鋼とは異なりますので注意!)の溶接は鋳鉄専用の銘柄が適用されます。16.HF-XXX専門書などによると、固体と固体がある接触圧力の下で相対運動を起こすと、固体のいずれか一方、もしくは双方の摩擦が生じ、形状が変化していきます。ブルドーザーやショベルなど建設機械の部品の中の土砂や岩石などの硬い物質と接触するツース類、金属体が相互に接触するクローラのリンクとスプロケットの関係などはその典型です。摩耗の進行度合は、接触圧力が高ければ高いほど、また、相互に接触する固体の硬さが低ければ低いほど、一般的に大きく、また温度などの環境にも影響されます。このため、摩耗を軽減または防止する目的で接触部に硬さの高い物質を使用したり、固体同士が直接接触しないよう固体間に適当な液体(潤滑油)などを介在させる方法をとっています。硬化肉盛(ハードフェイシング:HardFacing)溶接は前者に属する方法で、各種の機械部品の表面部に母材より硬さの高い金属を溶接により生成することで、稼働時の摩耗・変形を軽減し、機械設備・部品の長寿命化を図ることが出来ます。また、摩耗・変形した部品の修復にも使用されています。神戸製鋼では、本目的で使用されている被覆アーク溶接材料の銘柄名として「HardFacing」の頭文字をとった「HF-XXX」を充てています。また、硬化肉盛用のフラックス入りワイヤとしてDW-HXXXシリーズがありますが、このHも「HardFacing」の頭文字をとったものです。神戸製鋼製の硬化肉盛用溶接金属の種類は、①少量のクロム・モリブデンなどを含む低合金タイプ②10%前後を超えるクロム、マンガンなどからなる高合金タイプフラックス入りワイヤと被覆棒の種類・特長③3%前後の炭素を含む溶接金属に比較的多量の合金元素を添加した鋳鉄系タイプ、の3つに大別され、その原型は昭和27年から29年に開発・上市されています。その後、現存する表面硬化肉盛用被覆アーク溶接棒のほとんどが我が国の鉱工業生産が急激に拡大した昭和38年位までに開発され、今日に至っています。もっとも初めに開発されたものの一つに高炭素・高マンガン系のPREMIARCTMHF-11、高炭素・中合金鋼系のPREMIARCTMHF-12などがあります。「-11」は高マンガン鋳鋼(いわゆるハッドフィールド鋼)の特徴である11%マンガンに由来しています。「-12」はそれに次ぐ2番目の被覆アーク溶接棒として、「PREMIARCTMHF-13」は13%クロム系であることから「-13」を使用しています。高クロム系としてはPREMIARCTMHF-30があります。「-30」は30%クロム系であることに由来しており、硬化肉盛用フラックス入りワイヤのPREMIARCTMDW-H30やPREMIARCTMDW-H30MVの「-30」も同様に30%クロム系であることを表しています。PREMIARCTMHF-16の「-16」は高炭素-16%マンガン‐16%クロムの溶着金属を形成することに由来します。「PREMIARCTMHF-240」から「PREMIARCTMHF-1000」などHFに続く数字が3〜4桁の数字からなるグループがありますが、この3桁・4桁の数字は溶着金属の硬さをおよその「ビッカース硬さ」であらわしており、比較的やわらかいパーライト系溶接金属からタングステン炭化物を多量に含む高硬度のものまで広く含まれます。フラックス入りワイヤDW-HXXXシリーズも同様に、PREMIARCTMDW-H250からPREMIARCTMDW-H800ま肉盛金属の種類フラックス入りワイヤ被覆棒ビッカース硬さパーライト系DW-H250,DW-H350HF-240,HF-260,HF-350200〜400新銘柄のおはなし-8▼▼▼被覆アーク溶接棒(6)●営業部ニュースマルテンサイト系DW-H450,DW-H600DW-H700,DW-H800HF-450,HF-500,HF-600HF-650,HF-700,HF-800K13%クロムステンレス鋼系DW-H131S,DW-H132CR-134セミ・オーステナイト系-高マンガン・オーステナイト系高クロム鉄系13%Mn系DW-H1116%Mn-16%Cr系DW-H16DW-H30,DW-H30MVHF-30HF-12HF-11HF-16,MC-16タングステン炭化物系-HF-950,HF-1000:PREMIARCTM92015Spring


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