営業部ニュース

溶接ご法度集-18 各種溶接材料編(3)
TIG溶接 その2


前号ではTIG溶接の練習法を中心に説明しましたが、今号では実施工にかかわるご法度を説明いたします。

※本文中の溶接110番・119番および用語解説バックナンバーは、以下URLよりお入りください。
ぼうだより 技術がいどライブラリー http://www.boudayori-gijutsugaido.com/library/

ご法度(84)
TIG溶接で能率にこだわるのはご法度

TIG溶接は、決して能率の良い溶接法ではありません。単位時間に着く溶接量(溶着速度)が求められる時に使うものではありません。

しかし、溶込みの深さ、ビード外観、低スパッタなどが優れ、「きわめて良好な機械的性質が得られる」「ほとんどの金属に適用できる」など、品質に関し、TIG溶接にまさるものはないと考えられています。

TIG溶接で能率にこだわるのはご法度


ご法度(85)
ステンレス鋼をバックシールドなしで溶接するのはご法度

TIG溶接はパイプの裏波溶接に用いられます。ステンレス鋼の裏波溶接をするときは、裏側にもアルゴンガスを流し、裏ビードの表面が酸化しないようにします。これを「バックシールド」と言います。

なお、炭素鋼の溶接ではバックシールドを行わない場合が多いようです。

*当社ではバックシールド不要のTIG溶接用フラックス入り溶加棒「TG-X」シリーズをラインナップしています。

ステンレス鋼をバックシールドなしで溶接するのはご法度


ご法度(86)
タングステン電極の保守を忘れるのはご法度

TIG溶接は、トーチに装着したタングステン電極がアークを発生させます。

タングステン電極の先端部は使用中形状が劣化するため、アークの集中が悪くなります。そこで、タングステンの先端部は、常にグラインダなどで研いでおく必要があります。

タングステン電極の保守を忘れるのはご法度
タングステン電極の保守を忘れるのはご法度


ご法度(87)
ガス流量が多過ぎるのはご法度

一般に、トーチから流すアルゴンガスの流量は5~ 12L/min程度です。

流量を増加させると、かえってシールドが悪くなって、空気を巻き込んでビードが酸化したり、ブローホールが発生することがあります。



(株)神戸製鋼所 溶接事業部門 マーケティングセンター
マーケティング企画室 原田 和幸



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