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-1-近年、省エネルギーや省資源化等を目的として、材料を高強度化し、自動車等の輸送機関の軽量化が検討されています。また、発電プラントや化学プラントでも、運転効率を考えて、高温強度を上げた材料の使用が進んでいます。一方、材料を高強度化すると、水素脆化感受性が高まります。実際の構造物では、溶接という工程が避けられず、水素が溶接部に容易に侵入します。水素は、常温で結晶格子内を自由に移動することができ、低温割れなどの水素脆化の原因となります。常温で鋼中を自由に動く水素を、拡散性水素と言います。日本工業規格(JIS)では、JISZ3118に「鋼溶接部の水素量測定方法」が規定されていますが、2007年度に改訂が行われています。そこで、今回、水素脆化メカニズム、JIS規格の主な変更点および最近の拡散性水素量測定への取組みにつ試験調査の紹介拡散性水素量測定試験・調査報告1.はじめに><いて報告します。<2.水素脆化とは>水素脆化とは、静的応力下にある構造物・部材・部品が、ある時間経過後に脆性的に突然破壊する現象です。溶接に身近な例では、低温割れが挙げられます。また、高温で運転されるプラントでも、鋼中に侵入した水素(H)が炭素(C)と結び付いてメタンガス(CH4)を発生させ、強度を低下させたり割れを生じさせることがあり、これも水素脆化の一つです。さて、これまで水素脆化に関しては、多くの研究がなされており、下記のようなメカニズムが提案されています1)。しかしながら、まだ完全には解明されていないようです。【水素脆化メカニズム】①面圧説(内部応力説)鋼中の水素が空隙に分子状水素として析出し大きなガス圧を発生し、鋼中のすべり変形を阻止することで脆化する。ただし、Heでは脆化しないことから、現在ではあまり支持されていない。②原子間凝集力低下説応力誘起拡散により水素が欠陥の先端部分に集まり、格子の原子間凝集力を低下させることで脆化する。③水素と転位の相互作用説「容易すべりモデル(水素がき列先端の塑性すべりを容易にする)」、「HELP説(水素が転位の移動を助長する)」、「Vacancyモデル(水素によって助長された空孔密度が主要因)」などが検討されている。<3.JIS規格の主な変更点>JISZ3118は、2007年度に改訂されています。主な変更点は、表1のとおりです。試験片が2号だけになり、ガスシールドアーク溶接材料にフラックス入りワイヤが追加されています。さらに、測定手順として、グリセリン置換法がなくなり、ガスクロマトグラフ法だけになっているのが大きな特徴です。水素量の算定手順は、試験片数が4個から3個の平均になった以外、変更はありません。なお、水素捕集条件として、従来の45℃で72h以外に150℃で6hの条件も認められていますが、高温捕集に対応した専用の捕集容器を使用する必要があります。