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WRC組織図ステンレス鋼は、化学成分によりオーステナイ窒素の影響を追加したのが図1に示すディロングト(A)、マルテンサイト(M)、フェライト(F)の組織図です。フェライト量の指標としてFNが用およびそれらの混合型(AF,FA)に組織が変化しいられていますが、FNは最大で18であるため、2ます。そして、機械的性質、耐食性および溶接性相ステンレス鋼のようにフェライト量が高い鋼種などは、組織によって大きな影響を受けるため、には適用できません。溶接に際して、あらかじめ溶接金属の組織が予測ディロングの組織図に比べ、組織が高フェライト領できれば大変好都合です。域まで拡張されたのがWRC(WeldingResearchステンレス鋼の組織を化学成分から判定する組Council)組織図です。図2に1992年版のWRC組織織図の研究は、古くから多くの研究者や機関によ図を示します。って行われており、代表的なものがシェフラーのWRC組織図の大きな特徴は、溶接金属が液体か組織図やディロングの組織図です。ら固体に凝固するときに現れる組織が示されていシェフラーの組織図は広い範囲の組織が推定でることです。定性的には、ニッケル当量が小さくきることから、異材溶接の検討などに活用されてなりクロム当量が大きくなるとともに固体中のオきましたが、強力なオーステナイト形成元素であーステナイト相は減少し、フェライト相が多くなる窒素がニッケル当量に含まれていません。このります。つまり、凝固組織はA→AF→FA→Fと移っていきます。この凝固組織は高温割れと密接な関係があり、組織図上でAFまたはFAで示される領域の溶接金属では高温割れが起こりにくく、A領域では高温割れの危険性が高いことが知られています。AFやFA領域は、室温で数%以上のフェライトが含有される領域とほぼ一致しています。このことが308系に代表されるオーステナイト系溶接金属にフェライトを数%以上含有させる大きな理由です。いっぽう、フェライト量が多すぎると、600〜800℃に加熱されたときに延性や靭性が著しく劣化することがあります。従って、オーステナイト系ステンレス鋼の溶接では、用途に応じて溶接金属に適量のフェライトを含有させることがポイントとなります。WRC組織図は他の組織図に比べ、あまりなじみがありませんが、今後、特徴を生かした活用が期待されます。(1995年1月号)201