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画像①フェライトスコープの使用画像②母材と溶接部の磁性確認画像③軟鋼とSUSで比較画像④DW-Tの磁性画像⑤TG-X308Lの磁性(株)神戸製鋼所溶接事業部門営業部営業企画室カスタマーサポートグループ金子和之2016Winter26金属部の磁性』について4.オーステナイト系ステンレス鋼の溶接金属の磁性オーステナイト系ステンレス鋼の溶接施工の際、発生する割れのほとんどが高温割れ(凝固割れ)です。高温割れとは、凝固温度あるいはその直下の高温で、溶接金属や熱影響部の粒界に発生する低融点化合物に起因する割れです。この高温割れの発生を防止するには、溶接金属中に数%〜十数%のフェライトを含有させることが有効です。これは、りん(P)や硫黄(S)等の有害な不純物元素がフェライト組織内に固溶され、粒界への低融点化合物の偏析が減少して粒界が健全になり、割れの発生が抑制されると考えられています。このことから、溶接材料は数%のフェライトが含有された溶接金属になるよう、成分設計され製造しています。実はこのフェライトの性質は軟らかく延性に富みますが、強磁性を有しています。このためフェライトが数%含まれる溶接金属は、微弱ですが磁石に反応します。磁石に反応しても、耐食性には全く問題ありませんのでご安心ください。5.おわりにオーステナイト系ステンレス鋼の磁性について説明しましたが、一般的に非磁性で知られるオーステナイト系ステンレス鋼も、加工状態によりその鋼板や溶接金属が磁性を持つことが、ご理解頂けたと思います。この現象を実際の映像で紹介しますので、表2のフェライト量の測定方法の説明と合わせてご覧ください。B化学成分CrCNi17.5617.279.2710.620.070.09ABA100502010521導磁率020406080加工度(%)図2オーステナイトステンレス銅の導磁率に及ぼす冷間加工の影響〔ステンレス鋼便覧抜粋〕