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●解説コーナー二相ステンレス鋼用フラックス入りワイヤの種類1.はじめに近年、鉄鋼メーカーより二相ステンレス鋼の省合金型や高合金型がラインナップされ、ケミカルタンカーや海水関連装置(水門など)の製作に採用されるなど、新技術として広範にわたり使用されています。本稿では二相ステンレス鋼用フラックス入りワイヤ(以下略二相SUS用FCW)の種類と施工上の注意点についてご紹介します。2.母材の種類と溶材銘柄のラインナップオーステナイト組織とフェライト組織が約5:5の割合で混合していることから、二相ステンレス鋼と呼ばれています。一般的に使用されるオーステナイト系ステンレス鋼と比較して、①塩化物環境下に対する耐食性が高い、②高強度、③省ニッケルといった特徴があるため、長寿命化やコスト削減をキーワードとして各種装置などに採用されています。二相ステンレス鋼は主にクロム(Cr)やモリブデン(Mo)、窒素(N)などの合金成分を含有させることで耐食性や強度を向上させており、耐食性性能(耐孔食性指数PRE*)によって各グレードに分かれています。表1「二相ステンレス鋼の種類」に示します。二相SUS用FCWもグレードごとにラインナップしております。表2「二相ステンレス鋼用フラックス入りワイヤの種類」に示します。一般的に溶材は、母材と同等のグレードか上位のグレードを選定します。表3「二相ステンレス鋼の種類と適用銘柄例」をご参考ください。炭素鋼やオーステナイト系ステンレス鋼との異材溶接については、309系の溶材または耐食性や強度を考慮して二相ステンレス鋼用の溶材を選定します。表4「二相ステンレス鋼と各種鋼材との異材溶接時の適用銘柄例」に適用銘柄例を示します。*PRE=Cr+3.3Mo+16N,mass%表1二相ステンレス鋼の種類グレードJISCSiMnPSNiCrMoCuNPRE省合金(LeanDuplex)汎用(StandardDuplex)SUS821LSUS323LSUS329J3LSUS329J4L0.030以下0.030以下0.030以下0.030以下0.75以下1.00以下1.00以下1.00以下2.00〜4.002.50〜4.002.00以下1.50以下0.040以下0.040以下0.040以下0.040以下0.020以下0.030以下0.030以下0.030以下1.50〜2.5020.50〜21.500.60以下0.50〜1.500.15〜0.203.00〜5.5021.50〜24.500.05〜0.600.05〜0.600.05〜0.204.50〜6.5021.00〜24.002.50〜3.505.50〜7.5024.00〜26.002.50〜3.50‒‒0.08〜0.200.08〜0.3023〜2425〜2634〜3537〜38高合金(SuperDuplex)SUS327L10.030以下0.80以下1.20以下0.035以下0.020以下6.00〜8.0024.00〜26.003.00〜5.000.50以下0.24〜0.3242〜43スーパーS32750スタンダードS31803リーンS32101フェライト相オーステナイト相二相ステンレス鋼オーステナイト系ステンレス鋼304L316L203040PREW=Cr+3.3(Mo+0.5W)+16N汎用二相ステンレス鋼のミクロ組織一例900700500引張強さ[MPa]引用:石田雅俊(株)神戸製鋼所溶接事業部門技術センター溶接開発部技術レポート(Vol.572016-1)232019Summer