溶接110番・溶接レスキュー隊119番


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●解説コーナーペールパックの正しい使い方1.はじめに我が国では、1990年頃から労働環境や労働条件が厳しいとされる3K職場は、若者から敬遠されるようになり、残念ながらその風潮が現在も続いています。溶接業界も例外ではなく、鉄骨・造船・橋梁・建機などさまざまな分野で人材不足や技能継承・作業者の高齢化などが大きな課題となっています。このような厳しい状況の中、安定した生産性の確保や省力化などの効率向上を目的として、各分野で自動化への取組みが飛躍的に進んでいます。これに伴い、溶接ワイヤではペールパックの使用が増加傾向にあり、当グループへもペールパックに関するお問い合わせを数多くいただくようになりました。そこで今回は、ペールパックを使用する際に起こりえる代表的なトラブルである、キンク・絡み・ビード蛇行および狙いずれ・送給不良などの現象の説明と、トラブルを誘発した誤った使い方の事例を交え、ペールパックの正しい使い方についてご説明します。2.ペールパックのトラブル1)キンク(動画1参照)ペールパックは溶接ワイヤが鉛直方向へスムーズに引出されるよう、溶接ワイヤに捩じれを加えらせん状に収納しています。使用時には、この捩じれを開放しながら引き出されますが、何らかの原因で溶接ワイヤに負荷がかかり捩じれの開放が阻害されるとその力がペールパックへと戻り、溶接ワイヤが小さな輪となってキンクが発生します(写真1参照)。キンクした溶接ワイヤはガイドパイプを通過できず、最終的には送給停止や断線状態となる現象です。2)絡み(動画2参照)ペールパック内の溶接ワイヤは、輪が互いにくぐらないようにらせん状に収納されていますが、何らかの原因で積層が乱れると絡みが発生しやすくなります。発生する箇所は、ペールパック内の押え板の上で数輪が絡む場合(写真1参照)と、押え板の下で絡む場合があり、共に送給停止を引きおこす現象です。3)ビード蛇行および狙いずれビード蛇行とは、何らかの原因で溶接中にチップ先端部で溶接ワイヤが不定期に回転などを繰り返し、溶接したビードの際が蛇のようにくねくねと乱れた状態(写真2参照)となる現象です。また、ロボットや自動動画1キンクの発生状況動画2絡みの発生状況キンク絡みビード蛇行送給不良写真1苦情の一例写真2苦情の一例152022Spring


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