溶接110番・溶接レスキュー隊119番


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●解説コーナーワイヤ矯正機について1.はじめに我々が日々多くの顧客先へ訪問し、溶接に関するお困りごとを伺いながら巡回している中で、昨今最も耳にするのが〔人材不足〕です。ベテランの溶接者が勇退され、若いオペレータの定着化が難しいとの話を、どの業種でも耳にします。そんな状況を何とか打開しようと、溶接の自動化が活況になっています。神戸製鋼所の販売する溶接ロボットや、以前からラインナップしている走行台車なども自動溶接の一種と言えます。機種により自動化の程度に差はありますが、人的労力を緩和するだけでなく、セッティングまでできていれば熟練の溶接技術がなくとも安定した結果が得られるというのが自動溶接の良いところであり、〔人材不足〕の状況改善に寄与するところです。しかしながら、自動溶接だからこそ発生しやすくなるトラブルもあります。その一つが、溶接中でのワイヤの狙いずれです。ワイヤの狙いずれとは、溶接中にコンタクトチップから出たワイヤが瞬間的に振れ、本来の狙い位置からずれてしまう現象を言います。ベテラン溶接者が自分で溶接をする際は、多少ワイヤが振れても瞬時に反応してカバーし、結果には大きな影響が出ないケースが多いようです。しかし、自動溶接の場合は基本的に事前に教示した動きを再現するので、ワイヤが振れるといった不具合事象に対応できません。そのため、狙いずれが発生した結果がそのまま反映され、ビード蛇行や融合不良につながってしまいます。これを解決する有効な手段が、神戸製鋼所の販売するワイヤ矯正機「AMT-KS」と「AMT-KF」です。2.矯正機の役割矯正機の役割は、ワイヤに残存する巻き癖・曲がり癖を、真っ直ぐに近い適度な曲がり状態に矯正することです。その効果を動画1に示します。スプール品・パック品それぞれのワイヤ癖が矯正され、適度な曲がりに矯正されているのがお分かりいただけると思います。このようにワイヤ癖を直すことによって、前述のような狙いずれを防止することができます。3.矯正機の種類先に述べましたように、矯正機にはAMT-KSとAMT-KFの2種類があります。基本的にAMT-KSがソリッドワイヤ用で、AMT-KFがフラックス入りワイヤ用になります。また、AMT-KSはRタイプとFタイプの2種があり、AMT-KFはRタイプ、Fタイプ、Hタイプの3種がありますので、全部で5種類の矯正機があります。Rタイプはワイヤ送給装置に直結させるもので、主にロボットの送給装置への取り付けを想定したタイプです。Fタイプも送給装置に取り付けるものですが、送給装置のスプール取り付け軸に固定するタイプで、主に半自動での使用を想定しています。Hタイプはパックワイヤ使用時にアローハットに固定するタイプで、ロボットでも半自動でも使用可能です。また、これらの矯正機は適用ワイヤ線径ごとに調整がされておりますので、ご購入の際はご使用のワイヤ線径をお間違いのないようご注意ください。これらの種類をまとめたものを図1に示します。なお、余談ですがAMT-KFのFタイプとHタイプは古くから販売されており、Rタイプのみ新設されましたので、同じAMT-KFでも見た目やサイズ感が異なります。動画1スプールの場合動画1パックの場合212024Summer


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