技術がいど2012-201501


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技術がいどVol.522012年4月号-5-従来、当社では、粉体試料については、試料を溶解し溶液化して測定する湿式分析法で分析を行っていました。この方法は、精密な分析ができますが、熟練した技術が必要で、時間や費用がかかります。分析ニーズとして、精密分析ほどの精度は必要とせず、迅速かつ低コストが求められる場合も多々あります。このようなニーズに応えるため、当社では最新の蛍光X線分析装置に更新し、粉体試料の分析について、目的に応じた試料調製を行い、迅速に分析結果を報告できるようになりました。最後に、一例として、当社から程近い湘南江の島海岸の砂について、加圧成型法で試料調整した分析試料をSQX法(装置内感度係数を用いたFP(ファンダメンタルパラメーター)法)で半定量分析した結果と、ガラスビード法で試料調整した分析試料を検量線法で定量分析した結果を表2に示します。江ノ島の砂は、SiO2,Fe2O3,Al2O3等を主成分としていることが分かります。蛍光X線分析法の良いところは、成分が不明な場合でも、定性分析で見逃さず分析できることです。もし、江ノ島の砂に金(Au)が入っていれば、予知していなくても、その含有量を知ることができます。試料調整方法加圧成型法ガラスビード法表2XRFによる湘南江の島海岸の砂についての成分分析分析手法FP法(半定量分析)検量線法(定量分析)SiO2Fe2O3Al2O3MgOTiO2その他56.211.515.25.00.954.613.713.15.61.2※-単位:%(質量分率)※FP法では、B~Uまでをスキャニングを実施するので、上記成分以外で、主に、Na2O,C,K2O、等が検出されています。<4.おわりに>蛍光X線分析法は、熟練した技術が必要で、時間や費用もかかる精密分析に比べて、特別な技量を必要とせず、定量分析が可能です。また、近年では、その迅速性から精密分析を行う前のスクリーニング分析にも、蛍光X線分析法が採用されるようになってきています。このような背景から、今後、蛍光X線分析法のニーズが、益々、高まることが予想されます。蛍光X線分析法による定性・定量分析について、ご質問、ご要望等がございましたら、ぜひ当社へご相談ください。<引用文献>1)技術がいどVol.502010年1月号<参考資料>・中井泉編集:蛍光X線分析の実際初版、朝倉書店(2005)神鋼溶接サービス(株)技術調査部隈倉真


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