技術がいど2012-201501


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潤滑剤1.潤滑とはすが、500℃以上の高温になると、金属表面の酸化私たちの身の回りにある摺動部を持つ機械では、膜が炭素によって還元され、潤滑部表面にグラファ摩擦を低減させる必要があり、摺動箇所に潤滑剤をイトが付着し、再び潤滑性を発揮し始めます。大気中使用しています。で盛んに酸化し始めるのは700℃以上ですが、消耗古代から人類はこの知恵を利用しており、エジプトした分を補うよう供給を行えば、1000℃以上でも潤滑(紀元前1880年頃)では、数十トンの巨像を木製のそ剤として使用することができます。りに乗せて引っ張りながら運搬する際に、ソリと地面の接触部に液体を注いで、摩擦を低減していました。3.添加剤の役割潤滑剤を使用することによって、保守、交換の軽減、多くの潤滑油に用いられている添加剤には基油が故障の低減、長寿命化を行うことが可能となり、大き元々持っていない性能を付加する役割があります。こな経済効果を得ることができます。れまでに、清浄分散剤、耐摩耗剤、錆止め剤等、多2.潤滑剤の種類くの種類の添加剤が開発されており、多種多様な用途に使用されています。潤滑剤の形態としては、潤滑油(液体)、グリース一例として自動車のガソリン、軽油、潤滑油等に用(半液体)、固体潤滑剤の3種に分けられます。いられる清浄分散剤について説明します。潤滑油は、石油精製から得られる鉱物油、化学的清浄分散剤には分散作用、可溶化作用、酸中和に合成される合成油、天然より採取される動植物油作用の3つの作用があります。脂に分類されます。分散作用:酸化生成物や燃料の不完全燃焼生成グリースは、添加剤を含有している油分に増ちょう物、そのほかの油中の混入物に対して、吸着して油剤(金属せっけん、非せっけん)を含んだもので、駆動中に分散させて、ワニスやスラッジとしてエンジン内軸受け等の給油を頻繁に行うことができない箇所や、部に凝集、堆積することを防止します。冷却をあまり必要としない箇所に用いられています。可溶化作用:油の酸化や燃料の不完全燃焼過程固体潤滑剤には、グラファイト(黒鉛)、金属セッケで生じる中間生成物や水が、さらに反応してワニスやン等があり、油やグリースは使用できない、CDプレースラッジに成長することを抑制します。ヤ、カメラ部品等多品種にわたって用いられていま酸中和作用:燃料油中の硫黄化合物の燃焼にす。よって生じる硫酸や、生成する有機酸を不活性化し一例として、グラファイトの特徴を説明します。グラて、スラッジの生成、錆、腐食の発生および摩耗を抑ファイトは炭素原子から成る層状の分子構造(図1参制します。照)を持つため、層と平行方向に力を受けると、層が以上、述べてきましたが、潤滑剤は多品種開発さスライドして乖離します。そのため、潤滑剤としての機れており、私たちの身の回りで幅広く用いられていま能を持っています。す。摺動部を持つ製品の長寿命化に貢献していままた、環境雰囲気の乾燥や減圧、摩擦熱による表す。面付近の相対湿度減少で急激に潤滑機能を失いま滑り面滑り面<参考文献>1)養賢堂トライボロジーハンドブック(2001)第一版2)日刊工業新聞社図解トライボロジー(2007)第一版((株)神戸製鋼所溶接事業部門生産センター図1グラファイトの層状分子構造生産技術室上森圭)2012年7月483


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