技術がいど2012-201501


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疲労破壊1.疲労とは化することにより、応力集中の緩和を図ることがありま近年、高度経済成長期に作られた高速道路や橋す。また、鉄等の無数の小球を高速度で衝突させる梁等の経年劣化が話題となっています。これら劣化ことによって金属表面に圧縮残留応力を付与させるの多くは、疲労が原因と言われています。ここで疲労ショットピーニングという処理を施すこともあります。ことは、構造物や材料が繰返し荷重を受けて強度が減の圧縮残留応力は、疲労による亀裂の進展を抑制す少する現象と定義され(土木用語大辞典)、具体的にる効果があるとされています。さらに、溶接材料としては破断荷重以下であっても繰返し負荷によって亀裂も止端部へ圧縮残留応力を付与すべく、NiやCrとが発生し、進展する現象を言います。針金を繰返しいった元素を添加することによって、溶接金属の変態折り曲げると、簡単に破断する事象をイメージして頂膨張を利用する低温変態材料といわれる技術が開ければ、わかりやすいでしょう。なお、溶接部は構造発されています。物の中でも特に疲労破壊に対して弱い部位とされて神戸製鋼所では、溶接のままでも極めて平滑ないます。ビード形状が得られる純Ar-MIG溶接法(MX-MIG)において、NiやCrといった高価な元素を用いることなく2.溶接部の疲労破壊について低温変態膨張を実現できるフラックス入りワイヤ構造物に力が加わると、内部には応力が発生しまMM-1HSを開発しました。MM-す。応力の大きさは、よく川の流れに例えられますが、1HSでは、薄板溶接部の疲労強度を大幅に向上でき、平滑な部分では小さく、障害物があるような部分では疲労により破壊するまでの時間が約6倍、疲労破壊を大きくなってしまい、平滑部の数倍の力が働いてしま起こす最低荷重は約1.5倍まで向上することができまいます(応力集中)。溶接部では余盛の止端部が障害す。物となり、作用する応力が平滑部に比べて大きくなってしまうため、疲労破壊を起こしやすいのです。((株)神戸製鋼所溶接事業部門技術センターまた、溶接部のように局所的に加熱・冷却される箇溶接開発部宮田実)このように疲労強度が劣る溶接部ですが、いくつか疲労強度を改善する手法があり、例えば、溶接部に対し、グラインダー仕上げを行い、その止端部を平滑0104105106繰返数(N)107図1MM-1HSによる疲労強度改善効果鋼板:KBHF780SF板KB78板厚板3.4mmm平板従来ソリッドワイヤ500400300200100応力(MPa)所は、温度変化の小さい周辺部によって、本来の自由な変形(膨張・収縮)が妨げられてしまいます。その結果、溶接部とその近傍には、最終的に周囲の金属に引張られるような力が内在することになります(引張残留応力)。上で述べた応力集中に加え、このような引張残留応力も溶接部の疲労強度を低下させる原因とされています。3.溶接部の疲労強度向上2013年3月503


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