技術がいど2012-201501


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を決断したという。そして、この金属の骨組みの周囲に、約300本の竹から切り出した大量の竹を隙間なく編みつけていく。ぎっしりと詰まった編み目のおかげで、内部の金属骨は外からは一切見えない。「何もかも手探りで、仕上がるまでどうなるかわからない。やはり怖かったですよ。でも、GE社様にとっては創業の思いの宿った特別なものですから、それをお任せいただけたことが何より嬉しかったですね。どうしてもそのご期待に応えたい。その一心でした」「やたら編みベンチ」の製作を担当したのは、横山竹材店の4代目、横山裕樹さんら。ということ自体が業界に例のない初めての試みであ「日本の伝統産業が、海外へ」。それが継承への道る上に、相手はなにせ、幅約3メートル以上、総重量横山竹材店の取り扱う京銘竹は、その多くが日本100kg以上もある前代未聞の巨大なベンチ。「大丈建築や庭園、茶室などの用途に使われている。しか夫だろうか」。横山さんの胸中に、不安がよぎった。し、現代の住宅事情においては、一軒の家の中に和室がせいぜい一室あるかないかといったところ。京このとき、横山さんが最も危惧したのは、強度の問銘竹の需要も、右肩下がりで減っているのが現実だ。題だったという。このまま旧来のニーズだけに頼り続ければ、仕事は通常、ベンチ状のものを作る場合は編み込みの内いずれ先細りになる。部に隠れる形でまず竹の骨を組み、さらに、骨組みの上から平たく割った竹を中敷として並べて置いて「そうなった時に最も恐れなければならないのは、いく。最後に、骨組みの周囲を竹で巻くようにして包技術を継承できなくなるということ。技術を持った職み込んでいく。サイズが大きくなればなるほど重量は人がいなくなれば、“日本建築における竹”という文増していき、骨組み部分にかかる荷重も膨れ上が化そのものが失われてしまう」と、横山さんは言う。る。横山竹材店は、3世代が現役で働く老舗問屋であそこで横山さんは、網目の内側に入れる骨組みを、る。孫世代にあたる4代目・横山裕樹さんは、祖父と通常の竹の骨組みから金属製のものに変更すること父のもとで職人としての修業を重ねながら、専務とし東京・歌舞伎座にある日本茶店「寿月堂」の内装。3,000本の竹を使用し、直径18mm、長さ3mの女竹を600本使って製作されたすべて手作業で140枚の竹のパネルを施工したという。(©TakumiOta)「バンブーカーテン」。


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