技術がいど2012-201501


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ほっと一息古都の手仕事を訪ねる~メイド・イン・キョウトの現在第5回お客様の声を、未来への道しるべに――聚落社の染め紙日本を代表する染色工芸「京友禅」。この友禅染「手擦染」による、繊細な柄と風合いの技法を用いて和紙に紋様を色刷りしたものを「京聚落社から発売されている紙と紙製品の図案の友禅紙」と呼ぶ。数々は、全て、ほかでは手に入らないオリジナルの京友禅紙の図案は、着物の柄から流用した伝統デザインだ。新柄製作のスタート地点は、図案を描き的な和服柄や文様だけでなく、友禅紙独自の花柄や起こすところから始まる。図案の原画の多くは、コン古代風景のモチーフなどバラエティに富んでおり、現ピューターによる作図と違って、どこか温かみのある在では3,000柄以上もあると言われる。また、絵巻物矢野さん自身の手描きによるもの。この原画をもとに、や浮世絵風の絵画的表現による作品も生まれてお型屋に依頼して型を起こす。り、どれも、名画の一枚を鑑賞するような心持で味わ型は、合成繊維を使った布製のスクリーン型だ。こいたくなるような、美しい逸品だ。の「型」の出来栄えが、染めの仕上がりを大きく左右する。友禅紙の職人にとって、型職人は欠かせない今回は、京友禅紙の手染め職人、矢野誠彦さんがパートナーであり、仕事上の右腕のような存在でもあ営む紙と紙製品の会社「聚落社」を訪ねた。るという。染め紙そのもののほかに、封筒やぽち袋などの手軽に使える紙製品も製作・販売。厚手の和紙でしっかりした風合いだ。染めの作業に入る前に、まずは染料を準備せねばならない。「糊場」と呼ばれる作業場で染料を混色し、さらに染料を繊維に固着させる「糊」の役目をするバインダー材を計量して混ぜ合わせていく。調合ひとつとっても非常に繊細な作業で、その日の気候や湿度によって、最適な染料の配合は微妙に変わるのだという。聚落社の紙張りの箱。写真はポストカードサイズの箱で、海老天をモチーフにした【TEMPURA】と【ラッカセイ】。紙と同じ型を用いて布を染めたハンカチなどの布製品も。図案は【エダマメ】。もちろん、箱は聚落社オリジナルの紙箱。


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