技術がいど2012-201501


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はやこの先、正統な技術を守り伝え続けることが難和紙を糊で張り重ねていく。糊が十分に乾いたら、こしくなってしまった。こに仕上げの紙を重ね、最後に柿渋を塗って仕上げる。柿渋は、タンニン含有量の多い渋柿の実を潰し「先代は、誤解を解くために、また苦情やお叱りの声て汁を絞り、発酵させたもの。天然の防水・防虫・防にお応えするのにずいぶん心を痛めながら亡くなり腐効果を持つうえに、素材の強度も増してくれる。日ました。でも、そもそもこうなってしまったのは、きち本古来の万能塗料だ。んと本当のことをお伝えする場所がなかったからなさらに、この柿渋の上から漆などの仕上げ塗りをんです。だから、私の代では資料をまとめて書き記重ねることもある。着物生地の端切れや、金箔や銀し、また正しい技術を多くの方にお教えしたい。世の箔で彩りを添えることもできる。中に開かれた一閑張の資料館を作ること、それが私の代の役割だと思っています」糊と紙はもちろんのこと、柿渋、漆、べんがら、胡粉など仕上げに使う素材も含めて、一閑張の素材は全て、自然な素材と伝統の技術自然の素材である。一閑張の素材は、和紙と糊。糊は、小麦粉から抽出された澱粉(でんぷん)を煮詰めて作られる生麩立体の木型や籠を平面の紙で包むわけだから、普(しょうふ)糊を用いる。通に考えれば紙に少々の皺や浮きは出そうなものだ。まずは下張りとして、土台となる木型や籠の上にまた、立体作品を一枚で包み張れるはずもないのだか小麦粉の澱粉を原料とする生麩糊。下貼りを終えた状態の竹籠。身近なところでは、掛軸の表装や障子貼りなどにも使われる。籠の網目がくっきりと浮き出して見える。貼り重ねていく素材には、主に和紙が使われる。だが、それに限らず身近に使わなくなった紙や、着古した着物の端切れなども、無駄にはせずに大切に使うそう。右側の笊はおよそ200年前、左側の籠は80年前に作られたもの。年月を経た古道具が、お直しを経て何度でも蘇る。


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