>> P.89
-1-X線回折試験技術がいどVol.502010年11月号試験・調査報告1.はじめに><X線は、電子を高速で運動させ、Cu,Co,Cr等のターゲット金属に衝突させると、特性X線が発生します。この特性X線を物質に照射すると、X線の一部が散乱します。原子が三次元的に規則正しく並んだ結晶構造を持つ物質では、散乱X線が干渉してX線がある特定の方向に強く散乱します(ブラッグの回折条件:図1)。これがX線の回折現象です。一方、原子が規則正しく並んでいない非晶質(ガラス等)の物質では、はっきりとした回折現象は起こりません。X線回折試験では、結晶構造を持つ粉末試料にX線を照射して、回折X線の回折角や強度を測定することで結晶の同定(定性分析)を行うことが可能です。技術がいど2003年8月号で、X線回折試験による結晶相の同定方法について報告しましたので、今回は、結晶相の定量分析について述べることにします。入射X線λ回折X線θθd2dsinθ=nλブラッグの回折条件dsinθ図1ブラッグの回折条件<2.当社保有装置の概要>まず、当社が保有しているX線回折装置(RINT-TTRⅢ)について紹介します。装置測定部(ゴニオメータ)の外観は、写真1のようになっています。写真左側がX線入射側、右側が受光側です。この装置は、集中法、平行ビーム法による測定が可能で、高感度検出器を搭載しているため、測定時間を短縮することができます。また、オートサンプラー(写真2)がついているため、一度に10試料まで連続的に測定することが可能です。さらに、試料台を回転させることで、粗大結晶の影響を減らすことができますので、定性および定量分析の精度が向上します。さらに、解析時間の短縮・精度向上を目的として、定性分析用のデータベース、定量分析用ソフト等をオプション導入しています。写真1X線回折装置写真2オートサンプラーに試料をセットした状況<3.定量分析>X線回折では、化学分析のように含有元素ではなく、結晶相ごとに含有量を求めることができます。例えば、