試験・調査報告


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-1-高温摩擦摩耗試験技術がいどVol.512011年1月号試験・調査報告1.はじめに><「摩擦」とは、接触している2物体が相対的に運動するとき、その接触面で運動を妨げようとする向きに抵抗が働く現象をいいます。いっぽう、摩擦が起こることで接触面が消耗することを、「摩耗」といいます。一般的に、摩擦摩耗試験は、「摩擦」について摩擦力(摩擦係数)を、「摩耗」について摩耗量を、それぞれ求める試験です。この摩擦力と摩耗量は、2つの物体を摩擦することで得られることからも、その物体の性質に依存することは明白です。しかし、実際はそれ以上に速度や試験力、温度等の摩擦条件、材質と雰囲気物質の化学的性質、摩耗面に介在する摩耗粉等様々な因子が大きな影響を及ぼすため、摩擦力と摩耗量は単に固体が持つ物性値として定義できません。実際、いまだ摩擦摩耗現象を完全に説明できる理論はなく、摩擦力と摩耗量を把握するためには、実験に頼らざるを得ない状況です。<2.高温摩擦摩耗試験>摩耗現象は、下記の4種類に大別されます。①凝着摩耗(Adhesivewear)②ひっかき摩耗(Abrasivewear)③腐食摩耗(Corrosivewear)④表面疲れ(Surfacefatigue)今回ご紹介する「高温摩擦摩耗試験」は、凝着摩耗に対する試験の一種です。凝着摩耗とは、2物体が真実接触面積(原子レベルの相互作用の生じるくらいに近づく部分)において凝着(結合)し、その凝着部分が摩擦力でせん断されることによって生じる摩耗をいいます。凝着摩耗での2物体は、共有結合、イオン結合およびファンデルワールス力といった化学的な結合をします。そのため、金属間では、同種の場合、結晶構造が同じ場合、格子定数が近い場合に起こりやすいとされています。ところで、この「高温摩擦摩耗試験」、文字どおり高温で実施する摩擦摩耗試験なのですが、試験規格はありません*1。これは、先に述べたように、摩擦摩耗が材料に固有の性質ではなく、多くの因子に影響される大変複雑な現象であるためと言えます(金属材料は特に環境の影響を受けやすい)。特に、高温摩擦摩耗試験は、「実機における摩擦摩耗現象の予測・再現」に用いる試験となる場合が多く、試験条件はなるべく実機と一致したものを採用するため千差万別となり、統一した試験の規格化が困難となっているのです。しかしながら、試験機にはそれぞれ制限があり、実機と完全に一致した条件で試験を行うことは、実機そのものの試験をしない限り不可能である場合が多いです。弊社所有の高温摩擦摩耗試験機(図1参照)で行えるのは、図2に示す「リングとディスクの一定方向摺動形式」と「ピンとディスクの一定方向摺動形式」の2形式となります。一般的にも、凝着摩耗試験はこの2形式か、その変形形式(例:リングとリングの組合せ、往復摺動等)が主となっています。これら形式に対し、試験温度、試料材質、試験力、摩擦距離、摩擦時間、摩擦速度、表面粗さ、試験雰囲気等を調整し、実機に近い条件とします。*1常温摩耗試験は、日本機械学会が「摩耗の標準試験方法(JSMES-2010)」で標準化しており、ピンオンディスク摩耗試験、スラストシリンダ摩耗試験、ブロック・オン・リング摩耗試験の3つの試験方法が記載されています。


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