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プラズマアーク溶接プラズマという言葉は、古くから医学関係では「血は固体、液体、気体につぐ第4の物質の基本状態とも液・リンパ液の液体成分」という意味で有形成分とは考えられています。区別して用いられていたようです。プラズマは他の物質状態(気体や金属など)と類似物理学関係では1920年代にトンクス(TONKS)とラした点もありますが、異なった性質を持っています。ングミュア(LANGMIUR)が「電離気体」という意味例えば、気体は不良導体ですがプラズマは電気を良くで使用しています。すなわちアーク放電中の電気的に通すので金属と同じく良導体といえます。しかし金属中性な部分には、ほぼ同数の負の電荷をもつ電子と正は低温におけるほど電気を通しやすくなるのに対しの電荷をもつイオンが高度に電離された気体として混て、プラズマは逆に高温になるほど電気が通りやすく在していることを確かめ、これをプラズマと呼んでいなる点では金属と異なる性質を有しています。ます。最近では、ほぼ100%電離した完全電離プラズマプラズマは溶接への応用のほかに、電力、ロケット、宇宙科学、電子工学など幅広く応用研究、実用化が進められ、急速に発展しつつあります。溶接の分野で、アーク・プラズマを利用しようとする試みは1950年代から盛んとなりました。図1に示すようにタングステン電極と他の極となる有孔電極(ノズル)間にアークを発生せさ、この中に外部から適当なガスを送り込むとプラズマはノズルからジェット(プラズマ・ジェット)となって噴出することとなり、これを熱源として溶接に利用します。アーク・プラズマはノズル部分で冷却されエネルギー密度を大きくしてより高温が得られるよう工夫されています。図2にプラズマ溶接に採用されている高温プラズマ発生方式を示します。a)は非移行型アークを示したもので陽極は拘束ノズル部分で、陰極はタングステン電極となっています。(b)は移行型アークを示したもので、陽極はノズル部分と材料の二つから構成されています。アーク始動時はタングステン電極とノズルの間で高周波発生器を用いて放電を起こさせてから、主陽極である材料にノズルを近づけ主アークを発生させます。主アーク発生後は高周波発生を停止します。(c)は(a)と(b)の中間形で主として小電流域でのアーク安定のため常時タングステン電極とノズル間に、パイロットアークが発生しています。使用電源としては一般には垂下特性が用いられますが、小電流用としては、定電流特性を用いることもあります。プラズマ溶接の適用範囲は広く、特に薄板では、TIGで不可能に近い、0.025㎜tの板も溶接可能との報告もあります。プラズマ溶接はTIG溶接と電子ビーム溶接との中間的な性質を有し、取扱いも簡単なので、今後各分野に大いに利用されるものと思われます。(1981年12月号)137