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SR割れSR割れとは、SR(応力除去焼鈍;StressReliefしかし、これらの説はSR割れの現象の中で、鋼annealing)時に発生する割れのことであり、再熱種あるいは鋼材の成分などに応じていずれか一方割れとも呼ばれ、とくに690N/㎜2級以上の高張力が主体的になるものと考えられています。鋼やCr―Mo―V鋼の溶接継手部をSRしたときに発以上のことから次のような場合にSR割れが発生します。生しやすくなるといわれています。一般に溶接部には凝固冷却過程での収縮による1)鋼材にCr,Mo,V,Nb,TiやPなどが多く含ま残留応力が発生します。この応力は製品に応力腐れている場合。蝕割れや脆性破壊などの悪影響を与えるため、使2)熱影響部に鋭い切欠がある場合。用状況によっては取除く必要があります。残留応3)残留応力が高い場合。力を除去するにはピーニングという方法もありま4)結晶粒径が大きい場合。すが、SRが一般的に用いられます。5)溶接時の冷却速度が大きく、焼入れ組織にな1.SR割れの特徴る場合。SR割れの特徴としては次のようなことがあげ6)600℃前後でSRするか、この付近をゆっくりられます。加熱する場合。1)SR処理温度に昇温中、保持中または高温での3.SR割れの防止対策使用中に発生する。SR割れを防止するには、2)500〜750℃の温度範囲で発生する。1)応力集中をやわらげるため、溶接部表面を滑3)残留応力が高い場合に発生しやすい。らかな形状に仕上げる。4)一般に溶接熱影響部の粗粒部で発生し、この2)ピーニングなどによって残留応力を低くする。部分に沿ってのびる(図1参照)。3)熱影響部の粗粒部を再加熱し、細粒化する。5)割れは結晶粒界が口をひらいたような様相で4)溶接時の冷却速度を小さくする。ある。2.SR割れの原因などが良いといわれていますが、これらのほかにも種々のバタリング法も考えられます。しかしそSR割れ発生の原因はまだ明らかになっておられぞれの対策は、製品の性格上適用できないものず、現在も割れ発生機構などについての研究がさや、適用するには大変手間がかかるものもありまかんに行われていますが、す。また、これさえやれば絶対に割れないといっ粒内強化説や粒界脆弱説など有力です。粒内強た決め手も現在のところないようです。従って、化説はV,Moなどの炭化物形成元素がSR過程で粒SRする前には少なくとも溶接部の表面を滑らか内に析出し、粒内を強化する。この結果、抜けきに仕上げるよう心がけたいものです。れていない残留応力による歪みを粒界のみで受持(1984年10月号)つようになり、粒界が開口すると考えられている。従って結晶粒が粗大化しているほど粒界面積割合いが減少するので、割れやすくなる。また、粒界脆弱説は粒界あるいは粒界析出物と素地との界面への不純物元素の偏析にともなう粒界強度の低下に起因して、SR割れが発生するとの考えである。199