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1-1鋳鋼の種類鋳鋼には、表1に示すように、化学組成によって炭素鋼鋳鋼、低合金鋳鋼、高合金鋳鋼の3つに分けられています。この中で炭素鋼鋳鋼品が最も多く使用されています。炭素鋼鋳鋼品の中でも特に溶接性に優れた鋳鋼品が溶接構造用鋳鋼品となります。そのJIS規格を表2に示します。鋳鋼の溶接材料選定は、それぞれの強度レベルと、化学成分に合わせた溶接材料を選定することで、溶接用圧延鋼材で使用する溶接材料と同等品で溶接することが可能となります。例えば、SCW480であれば引張り強さが480MPa/m㎡以上ですので、LB-52やSE-50T、MG-50等で溶接が可能となります。低合金鋳鋼や、高合金鋳鋼も同様に、強度レベルや化学成分に合わせて溶接材料を選定して下さい。次に鋳鉄について説明いたします。2《鋳鉄とは》鋳鉄は、鉄と炭素(C)の合金で、炭素含有量が2%以上含み、鋼に比べ溶融点が低いため、湯流れ性が良く、鋳型に良くなじむので、鋳物として多用されています。製造が容易で利用範囲は広いのですが、溶接観点からみると非レスキュー隊119番常に厄介な金属材料といえます。身近なところでは、マンホールの蓋(写真3)や、門扉(写真4)などがあります。2-1鋳鉄の種類鋳鉄には、図1に示すように、大別すると『ねずみ鋳鉄』『可鍛鋳鉄』『球状黒鉛鋳鉄』の3種類があります。(表3に鋳鉄の種類とJIS規格を表記)2-1-1ねずみ鋳鉄この鋳物を破断すると、その断面が灰色であるため「ねずみ鋳鉄」といわれますが、別名を「普通鋳鉄」ともいい最も多く用いられる鋳物です。鋳造性に優れますが、強度が弱いとされます。通常、パーライトとフェライトからなる鉄地中に片状黒鉛が散在する組織(写真5組織写真)となっており、他の鋳鉄に比べると脆く、強度や延性が十分と言えませんが、鋳造性や機械加工性に優れているところから広く機械部品などに使用されています。2-1-2可鍛鋳鉄代表的なものとしては、黒心可鍛鋳鉄、白心可鍛鋳鉄の二つがあり、いずれも鋳放しのままで白銑化(硬くて脆い)したものを、その後の熱処理により組織改善あるいは脱炭することにより、じん性の向上など特性改善が図られてい記号SCW410SCW450SCW480SCW550SCW620引張試験化学成分(%)表2溶接構造用鋼鋳鋼品(JISG5102)引張強さ(MPa/m㎡)降伏点(MPa/m㎡)410以上450以上480以上550以上620以上235以上255以上275以上355以上430以上伸び(%)21以上20以上20以上18以上17以上CSiMnPSNiCrMoV0.22以下0.22以下0.22以下0.22以下0.22以下0.80以下0.80以下0.80以下0.80以下0.80以下1.50以下1.50以下1.50以下1.50以下1.50以下0.040以下0.040以下0.040以下0.040以下0.040以下0.040以下0.040以下0.040以下0.040以下0.040以下0.50以下2.50以下2.50以下0.50以下0.50以下0.50以下0.30以下0.30以下0.20以下0.20以下表3鋳鉄の種類ねずみ鋳鉄種類普通鋳鉄高級鋳鉄黒心可鍛鋳鉄JIS規格G5501G5702写真3鋳鉄製マンホール可鍛鋳鉄白心可鍛鋳鉄G5703パーライト可鍛鋳鉄G5704球状黒鉛鋳鉄G5502球状黒鉛鋳鉄オーステンパ球状黒鉛鋳鉄低温用厚肉フェライト球状黒鉛鋳鉄JIS記号FC100FC150FC200FC250FC300FC350FCMB270FCMB310FCMB340FCMB360FCMW330FCMW370FCMWP440FCMWP490FCMWP540FCMP440FCMP490FCMP540FCMP590FCMP690FCD350FCD400FCD450FCD500FCD600FCD700FCD800FCAD900FCAD1000FCAD1200FCAD1400G5503G5504FCD300LT写真4鋳鉄製門扉*注)JIS記号の付け方例1)FC100の場合、100は引張強さ(N/m㎡)の下限値を示す。3