溶接110番・溶接レスキュー隊119番


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溶接レスキュー隊119番②半自動溶接用ワイヤ半自動溶接用ワイヤと言っても大別するとソリッドワイヤとフラックス入りワイヤの2種類があります。また、包装形態としては、スプールタイプとアローパックのような大容量の物があります。半自動用ワイヤの場合、被覆アーク溶接棒の様に乾燥炉での乾燥はできません。その為、開封後は直ちに使用頂くようお願いしています。スプールワイヤを一度開封し、長期間使用しない場合は、送給装置から取り外してビニール袋に入れ(乾燥剤を入れるのが良い)製品が入っていた包装箱にしまって棚に保管することをお奨めします。また、パックワイヤの場合は直接床面に置くのではなく、パレットや専用台に置くことで、結露の影響による発錆を防ぐことができます。サブマージアーク溶接用ワイヤやスプール品のTIG用溶接材料も同様の管理が必要となります。③サブマージアーク溶接用フラックスサブマージ用のフラックスは大別して、溶融フラックスとボンドフラックスの2種類があります。溶融フラックスは原料を溶融したあと冷却して、細かく砕いたガラス質のフラックスです(写真2参照)。ガラス質の為、吸湿性はほとんどなく保管は容易ですが、真夏の高温で湿度が高い時期は、長時間放置しておくと表面に水分の吸着が起こるので、溶接前に150~350℃で60分の乾燥をお奨めします(表2参照)。ボンドフラックスは原料を粘結剤で造粒し400~600℃で焼成したフラックスです(写真3参照)。その為、溶融フラックスに比べ吸湿性は高くなるので、溶接前には必ず200~300℃で60分の乾燥が必要になります。図1に各種フラックの吸湿曲線(一例)を示します。以上、溶接材料の管理について簡単に説明させて頂きました。参考にして頂ければ幸いです。尚、ご不明な点がございましたら御一報下さい。㈱神戸製鋼所溶接事業部門営業部営業企画室カスタマーサポートグループ原彰一朗写真2溶融フラックス写真3ボンドフラックス焼結形フラックス溶融形フラックス2.01.0吸湿量(%)温度:30℃湿度:90%一般的なものとしては、『神鋼溶接総合カタログ』通称、赤カタがあります。2.溶接材料の保管方法について溶接材料が設計通りの性能を発揮できるよう溶接材料の保管上の注意点について、以下の項目が挙げられます。①雨や雪・露のかからない室内に保管する。②直接床面に置くことなく、パレット上などに積み上げて床面や壁面から10cm以上離して保管する。③湿気の少ない場所に保管する。④潮風や亜硫酸ガスなど発錆しやすい場所は避ける。⑤先入れ後出しを徹底する為、製品銘柄、寸法、製造年月日などが見易く管理できるよう整理整頓をして保管する。以上が、溶接材料の全般的な管理・保管上の注意事項となります。3.溶接材料の種類別保管方法について①被覆アーク溶接棒被覆アーク溶接棒(以下、手棒と示す)は、心線の周りに被覆材(フラックス)を塗布した製品の為、使用前に乾燥炉での乾燥を推奨しております。また、被覆の種類別にも乾燥温度や乾燥時間・乾燥回数・保温温度など管理条件が違います。せっかく乾燥を行ってもその温度、時間が適切でないと溶接作業性や機械的性能を満足することはできません。手棒は生き物と考えて頂き、溶接棒の種類毎に合った最適な乾燥条件で行うことが最も重要となります。例えば、イルミナイト系の推奨乾燥条件は70~100℃で30~60分です。もし、350℃の高温で乾燥を行った場合、被覆剤の成分が分解し設計上の性能が得られなくなります。写真1の様に棒表面は焼けて黒っぽくなり、変色も起こります。イルミナイト系溶接棒は、ガス発生剤にセルロースや澱粉と言った有機物を使用している為、高温乾燥では被覆剤が分解して本来の効果が薄れシールド性が悪くなり、気孔欠陥の発生原因となります。表1に乾燥温度の違いによるX線性能結果を示します。また、低水素系溶接棒は300~350℃で30~60分の乾燥を推奨しています。保温温度は100~150℃で最大保温時間72時間です。低水素系溶接棒は、推奨乾燥温度より低い温度では水分を十分飛ばすことができず、ビード割れなどの発生原因になります。推奨乾燥温度以下で長時間乾燥を行っても水分を十分除去することができませんので注意して下さい。低水素系溶接棒の性能を十分に発揮させるには乾燥条件をしっかり守ることが最も重要となります。表2の推奨乾燥条件を参考にして、乾燥温度・乾燥時間などを確認して下さい。変色350℃60分100℃60分写真1非低水素系同一溶接棒での乾燥状態比較020406080時間(hr)100120図1各種フラックスの吸湿曲線(一例)7


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