技術がいど2012-201501


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技術がいどVol.522012年4月号試験・調査報告-1-蛍光X線分析法は、取り扱いが容易であり、それほどの熟練を必要とせずとも、迅速に分析を行うことができます。このような特徴から、蛍光X線分析法は、鉄鋼をはじめとして、環境、電子材料、生体・食品等多くの分野で採用されています。蛍光X線分析装置は、大きく分けて「エネルギー分散型」と「波長分散型」に大別できます。エネルギー分散型は、検出器に半導体を使用し、迅速に、かつ、多元素を同時に、分析できます。また、近年は、装置の小型化が進み、手のひらサイズの携帯型の蛍光X線分析装置も販売されています1)。一方、波長分散型は、エネルギー分散型に比べて高分解能であるため、試料マトリックスが複雑なものでも、分析できるという利点があります。様々な試料の分析が可能である蛍光X線分析装置ですが、今回は、「波長分散型」に絞り、特に、“粉体試料(鉱物、岩石、セメント、セラミックス等)の定量分析”をご紹介します。なお、蛍光X線分析法は、非破壊分析が可能ですが、粉体試料の場合には、より良い分析結果を得るため波長分散型蛍光X線分析法による粉体試料の定量分析1.はじめに><に、試料の粉砕、もしくは、溶解を実施いたします。<2.蛍光X線分析の原理と装置概要>・原理蛍光X線分析は、試料に励起X線を照射して試料中の原子から蛍光X線を発生させ、その蛍光X線を分光して検出する分析方法です。発生する蛍光X線の波長(もしくは、エネルギー)は、各元素に固有であり、その強度は試料中の元素濃度に比例します。そのため、定性分析と定量分析が可能となります。分析対象元素は、原子番号5(B)から原子番号92(U)までです。・装置概要(図1参照)適切に前処理された分析試料を、試料ホルダにセットし(図2参照)、装置に設置します(図3参照)。装置に設置された試料は、真空雰囲気(数Pa)の装置内部に導入され、4.0kVRh(ロジウム)管球から発生した励起X図1装置外観


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