技術がいど2012-201501


>> P.78

ほっと一息古都の手仕事を訪ねる~メイド・イン・キョウトの現在第1回手仕事が生む「用の美」――京くみひも京都府宇治市と言われれば、何を思い浮かべるだ京くみひもの製造現場を訪れてろう。平等院や宇治上神社の世界遺産か、それとも昇苑くみひもは、今年で創業64年目を迎える。創三室戸寺の紫陽花だろうか。お茶とお菓子なんて方業当時は、手組み工房として和装小物の帯締めを主も、おられるかもしれない。だが今回は、あまり知らに生産していた工房なのだそうだ。れていない宇治のもうひとつの顔を訪ねよう。「京くみひも」の産地としての、手仕事の現場だ。工房の中を案内されて進むと、数十台の製紐機が一斉に轟音をあげて紐を組んでいく光景に行き当た宇治駅の南側にある昔ながらの商店街を抜けて、った。素材となる紐は、絹100%の糸を数本束ねてそのさらに路地奥に歩みを進める。そこに、「昇苑く撚り合せて作る。そうして作られた細い紐どうしを製みひも」の工房がひっそりとたたずんでいる。紐機にセットして組み上げると、鮮やかな縞柄や矢新年の干支、「巳」をくみひも細工で。人さし指ほどの小さな作発色の美しいストラップ類。品の中に、いくつもの結びの技術が盛り込まれている。金具を一切使わないので、携帯電話に傷がつかない。向かって右から「丑」、「寅」、「辰」。各々の表情にも味わいがある。機織りのような手法で組まれた「ネクタイ」。張りがあって締めやすい。


<< | < | > | >>