技術がいど2012-201501


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くみひもの起源を遡れば、古く飛鳥奈良時代。中さて、コラボレーションと呼べば聞こえはいいもの国や朝鮮から伝わった工芸くみひもが発端とされての、その発端はこうだったという。ある日、若い女性いる。その技術が代を経て口伝されるうちに、くみひデザイナーたちが「こういうものを作りたいんです」と、もは唐風から和風へとその風情を変え、また意匠や大量の設計図面を持ち込んだ。それを横目に見なが用途によっていくつかの産地に散らばった。現代のら、くみひも職人たちは「ああ、またか」と揃ってため主要な産地は、東京(江戸)、伊賀、そして京都。京く息をついたそうだ。実は、この手合いはとても多い。みひもは、その中でも特に帯締めや羽織紐として、パソコンの画面上だけで図面を引いて、もうできあが和装の隆盛とともに発展してきたものだ。った気になっている。だが、実際のものづくりは、設しかし近年、着物を着る人は少なくなり、帯締めや計図面通りにはいかない。紐の質や厚み、どの結羽織紐としての需要は減った。そこで、昇苑くみひもびの手法を使うのか、職人個人の技術と作り方のでは、携帯電話のストラップやカードケース、アクセ癖……、計算通りにいかないからこそ、熟練の職人サリーなどユニークな商品開発にも乗り出している。の経験と技が必要になる。新しい風を取り入れる見た目ばかりで現実離れした図面の数々に、職人2012年2月。国の指定伝統的工芸品を集めて行わたちはいい加減、うんざりしていた。れた「伝統的工芸品フォーラム展2012」で、昇苑くみひもと若手デザインプロダクション2社のコラボレーところが、彼女らが図面の次に差し出したのは大ション・アクセサリーブランド「ilono*tavi」が準グランプ量の紐で作った試作品だったそうだ。リに輝いた。「実際に作ってみたんですが、全然だめなんです。どうしたらいいんでしょう?」「ilono*tavi」は、若い女性をターゲットにしたカラフそう言って照れ笑いしながら頭を下げる彼女たちルなアクセサリーブランドだ。伝統的なくみひもの技の姿を見て、職人たちの心も動いた。術を応用して作られたものでありながら、ポップな明「机上で考えただけやなく、実際にモノを作ってきるい配色とモダンなデザインで、これまでは和装はもたのはあの子らだけや。ホンマに作りたかったから、ちろん、くみひも自体に興味も接点も持たなかったようちを頼ってきてくれたんやろな」うな若い女性層に支持されつつある。金属部品を使っていないことも特色の一つだとか。和装とは縁のなかった若い女性からも人気を集める、(「ilono*tavi」)若手デザイナーとのコラボレーション・アクセサリー。(「ilono*tavi」)


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