技術がいど2012-201501


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ちなみに、若いデザイナーたちの着想のきっかけき」といった仕上げの作業には、職人にも匹敵する経は「飛行機に乗る時、金属探知に引っかからないア験とセンスが必要となる。非常に繊細な仕事だ。クセサリーがあればいいのにな、と思って」ということ昇苑くみひもの場合、約60名のつくり手が製品のだったらしい。なるほど、確かに「ilono*tavi」シリーズ仕上げを担当している。しかし、力加減やつくり手個のアクセサリーには、金属部品はもちろん、樹脂パ人の結び方の癖によって、仕上がるものは大きく変ーツやテグスの類すら使われていない。わる。複数人が関わって複雑なものを作れば作るほ「飛行機とはねえ、びっくりするでしょう?こういうこど、品物の精度を維持することは難しくなる。そのたとは、職人には考えもつかないようなことでね。外かめ、仕上がってきた製品は、一点一点欠かさず全て、ら新しい風が入るというのは、大変やけどいいことや。社内で検品を行うという。素人目には決してわからな自分たちだけでは見つけられないような、くみひものいような、わずかな紐のヨレ、ねじれのある品も全て別の可能性に気付くことができる」撥ねていく。「国産」の伝統と品質を守る職人たちは「まあ、現代の職人はお客さんの言い日本の伝統工芸品は、高度経済成長期以降、中なりですよ」と笑うが、そこには、お客様のどんな困国や東南アジアなどでの海外生産にシフトして安価難な要望にも、技術と創意工夫で応えてきたというな大量生産を推し進めてきた歴史がある。歴史と自負もある。その積み重ねが「昇苑くみひもの「でも、これからは、国内で顔の見える職人を相手看板」をかたち作ってきたというわけだ。にきめ細かく指導をしながら、何年かけてでも国内のつくり手を育てなあかん。くみひもは数百年もの歴史「くみひもは美しいけど、決して飾って楽しむだけを持つ日本の伝統工芸品。国産を絶やすわけにはの芸術品やない。だからといって、中途半端な仕上いかん」がりのものを出してしまえば、昇苑くみひもの看板に消えない傷がつく。たとえお客さんが許しても、我々国産の品質を保つうえでは、宇治市内にいるつくり職人は、決してそれを許したらあかんと思うんです」手たちの力が欠かせない。くみひもの「結び」や「巻生産部門には10名ほどの職人さんとスタッフが在籍。社外スタッフである多数のつくり手たちの協力も欠かせない。球体の苧環(おだまき)をひと針ひと針、手作業で刺していく。


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