技術がいど2012-201501


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技術レポート[vol.532013-5]Standardduplex鋼のミクロ組織を写真3に示す。フェライSuperduplex鋼は、PRE(もしくはPREW)が40以上となるト相の母相中に、オーステナイト相が島状に分布してお高合金タイプの二相ステンレス鋼であり、S32750,り、その面積比率はほぼ1:1となっている。S32760等が代表鋼種である。Standardduplex鋼では使Leanduplex鋼は従来のStandardduplex鋼と比較して、用に耐えない熱交換器用鋼管や石油・天然ガス輸送用Ni,Moの含有量を低く抑えることで、低コストを実現したパイプライン等に適用されている。また、近年ではさらに成分系となっている。OUTOKUMPU社のLDX2101®に代Cr,Mo,N等の含有量を上げてPRE(もしくはPREW)を45以表されるS32101は高価なNiの代わりに安価なMn,Nを多上に高めたHyperduplex鋼と呼ばれるグレードも開発さく含有することでオーステナイト相を安定化させている。れている。ステンレス鋼の耐孔食性の指標であるPRE(PittingResistanceEquivalent:Cr+3.3Mo+16N)または3.二相ステンレス鋼フラックス入りワイヤPREW(PREにWを含ませた改良式:Cr+3.3(Mo+0.5W)+二相ステンレス鋼の溶接には、母材と同様にオース16N)で比較すると、Leanduplex鋼のPREはStandardテナイト-フェライトの二相組織の溶接金属が得られる溶duplex鋼よりも低く、304L,316Lと同等レベルである(図1)。接材料が使用される。近年は高能率化を狙ってこの分Leanduplex鋼は、耐孔食性の観点から、Standardduplex野の溶接においてもFCAWの適用が広がっているため、鋼が適用される厳しい腐食環境での適用は難しいが、新たに開発した二相ステンレス鋼フラックス入りワイヤ安価かつ高強度の利点を生かして304L,316Lの代替としについて、以下に紹介する。て採用されることが多い。DW-2209はAWSA5.22/A5.22ME2209T1-1/4に合致しStandardduplex鋼よりもCr,Mo,Nの添加量を高めてよた全姿勢用のフラックス入りワイヤである。主にり強度、耐食性を高めた鋼種がSuperduplex鋼である。Standardduplex鋼であるS31803やS32205、SUS329J3LFA写真3二相ステンレス鋼のミクロ組織(F:フェライト相、A:オーステナイト相)S31803S32101S32750304L316L20PREW(Cr+3.3Mo+16N)3040の溶接に使用することができる。DW-2209の全溶着金属のミクロ組織を写真4に示すが、オーステナイト相とフェライト相がほぼ同じ割合で微細に分布した組織になっている。Leanduplex鋼の普及に伴い、2012年にAWSA5.22/A5.22MにLeanduplex鋼用のグレードとしてE2307TX-Yが追加された。DW-2307はAWSA5.22/A5.22ME2307T1-1/4に合致した全姿勢用のフラックス入りワイヤである。主にS32101やS32304の溶接に適用可能である。写真4DW-2209の溶接金属のミクロ組織900700500(MPa)引張強さ図1各種ステンレス鋼のPREと引張強さの比較-2-


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