技術がいど2012-201501


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ほっと一息古都の手仕事を訪ねる~メイド・イン・キョウトの現在第2回日本古来の履き物の歴史を汲んで――手づくりの靴京都の和装産業の中心地、西陣。和装全盛期ほ手仕事の微調整が、履き心地を決めるどの活況ではないものの、今も、耳を澄ませばあちら吉靴房の靴の素材は、主に牛革、および牛ヌメ革こちらの町家の中から機織りの音が聞こえてくる。(なめしを施しただけの、染色・塗装がされていない革のこと)。履いた時に見える部分(アッパー部分)に今回訪ねるのは、そんな職人の町・西陣に現れたは、その中でも、キップと呼ばれる生後6か月から2きっかぼう新星「吉靴房」。2006年2月、東京から京都へ移り住年以内の若い牛の革を厳選して使うことが多いそう。んだ靴職人、野島孝介さんが立ち上げた手づくり靴きめ細かく美しい肌目の、上質な靴素材である。の工房だ。野島さんがつくる、ちょっと風変わりな靴の数々。一方、足が直接乗る中底には厚いヌメ革。そして、その秘密の一端をご紹介したい。底材には柔らかい樹脂やゴムを使うことが多い。剣道経験の長かった野島さんが「素足で板間や畳に触れる感覚に近い心地よさ」だと表現するように、一般的な革靴よりも柔らかで、開放感のあるさらりとした履き心地が実現する。工房の壁面にずらりと並ぶ、製作道具の数々。手仕事の大切なパートナーだ。昔ながらの町家を改装した、アトリエ兼ショールーム。昔ながらの西陣の商店街にもよく馴染む風情だ。店内には数十足の靴がずらり。サイズやデザインのオーダーメイドも受け付けてくれる。


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