技術がいど2012-201501


>> P.102

靴づくりの工程は、まず、野島さんのデザインをも漉きが終わると、次はいよいよ縫製・成形へ。パーとに靴の木型を作るところからスタートする。木型は、ツを縫い合わせて仕上がったアッパー部を、前述の靴の基本的な形状を決めるための重要な道具だ。木型にかぶせて木型の形に成型していく。いわゆる木型のわずかな狂いが、靴の見た目の美しさや履き「つり込み」の作業である。革を引っ張りながら木型心地を大きく変えてしまうこともあるという。に沿わせ、形を作っていくというこの作業は、職人の興味深いのは、人間の足の形そのままに削っても、手の感覚に依るところが非常に大きいそうだ。この足にフィットする木型になるわけではないということ。工程にこそ、靴職人の経験とノウハウが詰まってい木型は、足そのものの型というよりも、その後、歩行ると言ってもいい。するための靴としての製作工程を予想して描かれる、こうして成形を終えた靴は、その後、底の貼り付け靴職人のための「設計図」なのである。を経て仕上げへと移っていく。次は、木型をもとに型紙を起こし、素材となる革をたとえ熟練した職人でも、靴づくりのすべての工程を裁断して必要なパーツを切り出していく。裁断の終わ一人でこなすとすれば、一足あたり、最低でも14~5った革は、続いて「漉き」の工程に回される。時間は付きっ切りでかからねばならない。吉靴房では、たとえば靴の履き口の部分は、革の端を二つ折り野島さんほか2名のスタッフ、計3名がフル回転しても、にして縫い付けるために、他の部分に比べて著しい月産可能なラインは40~80足ほど。いかに手間と時厚みが出てしまう。デザインによっては、パーツを貼間のかかるものかが、よく伺い知れる数字だ。り合わせた部分に段差が出てしまう場合もある。こうした完成時に予想される厚みの差の部分を、あらかじめ専用の包丁で削ぎ落として調整しておくのだ。靴の原型となる「靴型」。昔のなごりで「木型」とも呼ばれる。職人は、サイズやデザインごとに多数の木型を使い分ける。一般的なミシンとはアームが逆に付いている、「靴用」の工業ミシン。革を裁断する、削ぎ落とす……、さまざまな場面で活躍する「包丁」。革靴づくりに特徴的な「つり込み」工程。革を引っ張りながら、木型に沿わせていく。


<< | < | > | >>