技術がいど2012-201501


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技術レポート[vol.532013-9]行となってしまう。この液柱が電磁力等によって不規則5.MM-430Nbについてに移動するため、ビードが蛇行し、安定な溶接ができな今回、当社では自動車排気系部品向けSUS430ワイヤくなってしまう3~5)(図1)。MM-430Nbを開発したのでこの場を借りて紹そこで、当社では純Arガス中でも安定した溶滴移行を介させて頂く。実現する方法として、フラックス入りワイヤ(FCW)を用いる純Ar-MIG溶接法(MX-MIG法)を開発し、これまでにも5.1溶接作業性図3に電圧とスパッタ発生量の関係、図4にスパッタ径ごとの発生量を示す。MM-430Nbには純Arを、その他のものに関してはAr+2%O2をシールドガスとして用い、平均電流180Aでパルス溶接を行った。通常の混合ガス溶接ではソリッドワイヤ、FCWともに20V以下ではスパッタ発生量が増大していることが分かる。それに対し、MM-430Nbは16V程度においてもスパッタ発生量が0.2g/min以下とすることができ、大粒のスパッタもほとんど発生していない。このように純Arシールドガ断面金属フープフラックス液柱図2FCWにおける純Ar溶接での溶滴移行0.5mmOver0.5mmUnderMM-430NbMM-430NbConventionalConventionalConventionalConventionalsolidSolidFCWFCW図4スパッタの粒径ごとの発生量0.70.60.50.40.30.20.10Spattergeneration(g/min)写真1従来FCW(JISZ3313T49J0T1-0CA-U)を用いた純Ar-MIG溶接012151821Voltage(V)図3電圧とスパッタ量の関係24-3-ConventionalFCWConventionalSolidMM-430Nb0.80.60.40.2(g/min)Spattergenerationrate軟鋼薄板用溶接ワイヤの紹介を行ってきた6~10)。FCWはソリッドワイヤと異なり、フラックスを帯鋼状のフープで包んだ2重構造になっている。FCWでは電流の大部分がフープに流れるため、内部のフラックスよりも先にフープが溶融する。これにより内部のフラックスが一時的に芯の役割を果たし、純Ar雰囲気においても安定な溶滴移行が可能となる(図2)。ただし、いずれのFCWでも可能なわけではなく、純Arガスでの溶接に適したワイヤ設計が必要である(写真1)。純Ar:熱分解なし熱的ピンチ力なし電位傾度:小過剰液柱アーク這い上がり過剰電磁力による回転、陰極点移動アーク偏向(ワンダリング現象)図1従来ワイヤにおける純Ar溶接での溶滴移行


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