技術がいど2012-201501


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技術がいどVol.532013年9月号-4-次に、疲労強度で重要視される止端部近傍の残留応力を、図6に示します。YGW17に比べ、低変態温度溶接材料である10Cr-10Niの方が大きく圧縮側となっていることが分かります。10Cr-10Niでは低温でのマルテンサイト変態時の膨張効果によって、止端部の残留応力を圧縮に作用させていることが分かります。なお、解析後、X線応力測定法にて止端部近傍の表面残留応力を実測した結果、YGW17で-57MPa(解析-23MPa)、10Cr-10Niで-203MPa(解析-196MPa)と解析結果に近い値となっていることを確認しています。<4.おわりに>残留応力解析について、マグ溶接継手を例に挙げご紹介しました。残留応力を測定箇所の制約を受けることなく確認できる方法として、FEM解析は有用な評価手法となっています。これを機会に興味を持って頂けたら・戸川隼人著:“有限要素法へのガイド”、サイエンス社・菅ら:薄板のマグ溶接継手における残留応力特性、溶接学会全国大会講演概要集第93集(2013)幸いです。参考文献><JISZ3312YGW1710Cr-10Ni100500-50-100-150-200-250-300残留応力(MPa)01234567止端部からの距離(mm)図6溶接線直角方向における止端部近傍の残留応力神鋼溶接サービス(株)技術調査部技術室永井卓也


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