技術がいど2012-201501


>> P.146

技術がいどVol.542014年1月号試験・調査報告-1-銅は熱伝導率が高く熱交換器の配管等に使われており、またステンレス鋼管は耐食性等の観点から一般的な配管として利用されてきています。このため、その異材継手の需要は多方面にわたっており、また、その施工法には主にトーチろう付等が用いられています。しかし、トーチろう付は材料間の熱伝導率の差から不均一加熱が原因の欠陥が発生しやすいため、高い施工技術を持つ熟練工が必要です。さらに熱源にガス炎を用いるため作業環境に十分な配慮が必要となり、換気が悪い場所等では使用が困難となる場合があります。また、双方を溶かした場合には、ステンレス鋼中に銅が侵入すると割れが生じやすくなるため1)、割れ抑制の観点から溶込みを厳密に制御する必要があり、通常のアーク溶接では施工は困難となっています。そこで、今回はそれらの改善策として自動化が可能で入熱の制御が容易なレーザを熱源としたステンレス鋼/銅のレーザブレージンステンレス鋼/銅のレーザブレージング1.はじめに><グの検討結果を紹介します。2.レーザブレージング><レーザブレージングは、レーザという熱源を用いたブレージング(ろう付)です。レーザ加工とブレージングの特長を併せもっており、高速度での施工や母材を溶かさないことが特長となっています。近年の代表的な利用例としては、自動車におけるレーザブレージングでありトランクやルーフ等車体によく使われています2)。特長としては、母材を溶かさないブレージングなので熱による影響が少なく、ひずみや変形が少なく接合後の外観をきれいにみせることができます。ただし、あくまでブレージングのため強度はあまり高いとはいえず、用途によって他の接合法と使い分ける必要があります。一方では異材接合の検討としてのレーザブレージングも報告されています3)。異材継手の場合は異なる材料を溶融させると脆い金属間化合物が生成したり、割れが発生したりするため、それを防ぐために母材をあまり溶かさないレーザブレージングは有用な方法の一つであるといえま3.接合試験例><す。図1に本接合法の概要を示します。溶加材は接合方向進行側から供給しシールドガスも溶加材と同軸でアルゴンガスを流しています。溶加材2種類(銅合金:Cu-Si系およびステンレス鋼:SUS309系)での断面マクロ試験結果を図24)に示します。銅合金系の溶加材を用いた場合は、欠陥もなく良好な溶込みが得られていますが、ステンレス鋼系の溶加材を用いた場合には割れが確認されています。割れの破面を図3に示します。破面は滑らかな形状を示しており、高温割れとなっています。また、断面を観察すると割れの近傍にはCuの偏析が観察されており、それが原因で割れたものと考えられます。これらのことから、ステンレス鋼にCuが少量混入すると割れが発生すると考えられ、ステンレス鋼と銅合金の接合の際は注意が必要といえます。図1レーザブレージングの概要


<< | < | > | >>