技術がいど2012-201501


>> P.160

海洋構造物海洋構造物とは、海洋の開発や保全のため、各種ジャケットの最大稼動水深は、その固有周期から活動に利用される洋上設備の総称です。狭義には、450m程度が限界とされていますが、これを克服した海洋における石油・天然ガスの掘削・生産設備を指のがCTであり、下部構造の変形が大きくなるように設すことが多く、海底に直接支持される固定式・着底式計されています。構造変形によって固有周期が長くと間接的に支持される浮体式のものに大別されまなり、稼動水深がジャケットの2~3倍へと高められてす。います。石油・天然ガスの採掘施設としては、ジャッ近年では、より水深の深い海域での石油・天然ガキアップ・リグ(Jack-upRig)、セミサブ・リグス開発が進められ、浮体式構造物の実用化が目立(Semi-SubmergibleRig;SSR)等、また生産施設としてつようになっています。SSRは浮体式としては比較的は、ジャケット(Jacket)、コンプライアント・タワー古くから試掘・生産用として使用されてきましたが、こ(CompliantTower;CT)、TLP(TensionLegれと類似した構造のTLPは上部浮体をケーブルにPlatform)、浮体式石油生産・貯蔵・積出し施設よって緊張係留した構造になっています。FPSOは箱(FloatingProduction,StorageandOffloadingfacility;型の浮体式構造物であり、構造はタンカと類似していFPSO)、スパー(Spar)等が挙げられます(図1)。ます。このため、タンカの改造によって建造される場ジャッキアップ・リグは、甲板昇降式石油採掘装置合もあります。スパーは近年実用化された海洋構造とも呼ばれ、レグに取り付けられたラックとプラット物であり、下部構造が貯油能力を持つ円筒形の浮体フォームに取り付けられたピニオンによりプラット式構造物です。フォームを昇降できるようになっています。ラックとピこれらの海洋構造物が稼働する資源探索の範囲ニオンでプラットフォーム全体を支えるため、これら材は、今後さらに深海や低温の海域にも広がることが予料には降伏強さ690MPa級の高張力鋼が使用されて想され、海洋構造物に用いられる鋼材・溶接材料のいます。更なる高強度化・高じん性化が望まれるようになってジャケットは、パイプを多用したレグを特徴とする固います。定式プラットフォームであり、パイプ同士の接合部(格点部)が数多く存在します。格点部はその形状から参考文献TKY-ジョイントとも呼ばれますが、全姿勢溶接が必1)石油天然ガス・金属鉱物資源機構:海洋工学ハン要となるため施工が難しく、かつ応力集中部となりうるドブック第5版(2011)ことから、継手に対する要求は厳しいものになります。((株)神戸製鋼所溶接事業部門技術センターJack‐up rigJacketCTSSRTLPFPSOSpar溶接開発部山上雅史)30~200m0~450m300~700m図1海洋構造物の種類と稼動水深70~1000m300~1500m50~>2000m300~>2000m2014年4月533


<< | < | > | >>