技術がいど2012-201501


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技術レポート[vol.542014-5]大脚長溶接時に塗装性*1)に優れたビード形状を呈するフラックス入りワイヤ「MX-200F」澤村直希(株)神戸製鋼所溶接事業部門技術センター溶接開発部1.はじめに2.塗装性とビード形状の関係近年、船舶の分野ではIACS共通構造規則(CSR)及びビード形状が塗装性に与える影響を調査するためにバラストタンクのIMO塗装性能基準(PSPC)といった新たアンダカット、オーバラップ形状を有する溶接ビードを作な規則が制定され、対象船の建造が開始されている。製し、ショットブラストを施し塗装を実施した。図1、図2にCSRの適用により、鋼板が厚くなる傾向にあり、水平す膜厚測定の結果を示す。なお、“(最大膜厚-最小膜み肉溶接ビードに要求される脚長が部材の板厚によっ厚)×100/定常部の膜厚”を塗装ムラ指数とした。膜厚ては6mm程度から8mm程度へと増加する場合もあり、そはアンダカットのやや上部とオーバラップの立ち上がりの比率も増加している。しかし、従来の水平すみ肉専用部が最も小さい傾向があり、膜厚不足となりやすいことフラックス入りワイヤ(以下、従来FCW)では、1パス施工が判明した。以上より、開発目標は二段ビード形状になで8mmの脚長を確保する条件範囲が非常に小さい上、らないフラットな形状でアンダカットが0.22mm以下、フラ二段ビード形状になりやすくビード止端形状によっては、ンク角は110°以上で規定膜厚の確保が可能であるも塗装性の劣化により規定膜厚の320μm以上を確保できのの、従来FCWと同等以上の120°以上とした。ないことが懸念される。従って、2パス施工となる場合もあり、建造能率を低下させるというデメリットが顕在化し*1)規定膜厚をムラなく塗装できること120100806040200開発目標膜厚≧320μm膜厚<320μm8090100110120130140150下脚フランク角(°)図2フランク角と塗装性の関係塗装ムラ指数-1-ている1)。そこで、8mm程度の脚長が水平すみ肉1パス溶接で得られ、アンダカットが小さく、ビード止端形状が滑らか(止端形状のフランク角が大きい)となるFCW「MX-200F」を開発した。以下に、MX-200Fの諸性能について報告する。120100開発目標膜厚≧320μm膜厚<320μm80604020000.20.40.60.81.01.21.41.6上脚アンダカット(mm)図1アンダカットと塗装性の関係塗装ムラ指数


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