技術がいど2012-201501


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お客様と向き合って“カワイイ”を学ぶになったという。独立直後から、矢野さんは全国の雑貨店を自分の足で訪ねて回り、販売拠点を広げていった。今や、「女性の“カワイイ”っていう漠然としてよくわからな北は北海道から南は九州まで委託先が日本各地にいものを、男性である自分が真剣に追いかける。だ点在するほか、大手通販会社などでの取り扱いもあからこそ、当の女性にとっても、聚落社の商品がかり、販売量は相当数にのぼる。えって意外で面白いと感じていただけるのではないそれでもなお、聚落社は、各地の手づくり品を販売でしょうか」するイベントに月数回のペースで出店を続けている。その理由について、矢野さんはシンプルに「お客様矢野さんはいつも、非常に注意深くお客様の話をに直接お会いしたいから」と答える。聞き、お客様の表情やしぐさを見つめる。どういうものが“カワイイ”と言われ、どんな時に欲しくなるのか。ブースを訪れる人の9割は女性客。「はじめのうち店頭には何種類、どんな商品を選んで並べるべきか。は、女性と向き合うだけで緊張するくらい。ロクに話常連のお客様が買い足しをされるタイミングや、新商せなかった」と笑う矢野さんだが、お客様と接していく品を求められる時期はいつか。――それらを、矢野うちに、日本の女性は、世界的にも美的感覚に優れさんはいつでもお客様と直接対峙することから知るていて、よりよいものを選ぶ意識が高いと感じるようのだという。所有する型枠の数々がずらり。ひとつの柄に対して重ねる色の不揃いな水玉模様の原画は、矢野さんがフリーハンドでハサミ数だけ、別々の型枠が必要となる。を使って切り抜いたもの。使い終わった型枠は、丁寧に水で染料を洗い流す。必要な色の種類は、伝統柄とは全く違う。その調合も、矢野さんが独学されたもの。


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