技術がいど2012-201501


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技術がいどVol.552015年1月号<4.マクロ破面観察>次に、破面のマクロ的な観察を行います。-2-破損部が破断に至っていない場合は、図1に示すように破面を現出させます。マクロ破面観察では、目視またはルーペで破面形態を確認します。破面に観察される筋模様から、破壊の種類、起点、進行方向等を判定します。通常、割れは起点部から放射状に広がることが多く、筋模様が明瞭な場合は、容易に起点や割れの伝播方向を特定することができます。マクロ的筋模様の代表的なパターンとして、ビーチマーク(疲労破壊)、シェブロンパターン(脆性破壊)等があります。ボルトのマクロ破面観察例を写真2に示します。破面には錆が発生しているため筋模様が見えません。しかし、5項の除錆処理を施すことで、割れの伝播方向を示す筋模様が分かるようになります(図2)。このボルトのように小さな破面であれば、6項のSEM観察だけでも破面形態の確認ができます。しかし、大型の破面では、マクロ破面観察で破面全体のどこが重要なポイントであるか判断し、6項のSEM観察や7項の断面組織観察を実施する必要があるため、マクロ破面観察が重要となります。<5.除錆処理>マクロ破面観察の際に、写真2のように破面に錆があり、観察しにくい場合があります。また、次項のSEM破面観察において、錆が付着しているとミクロ的な破面観察が困難となります。そこで、必要に応じて除錆処理を実施します。除錆処理には①超音波洗浄法、②ブランクレプリカ法、③酸洗浄法、④電解除錆法、等があります。鋼種や試験体の大きさ、状態によって適した方法を選択します。ボルト破損品は、図3に示す電解除錆法で除錆処理を施しました。写真3に除錆処理後の写真を示します。錆が付着したままでは分かりにくいですが、除錆処理することで、ルーペで観察すると、図2に示すように割れの伝播の筋模様が観察できます。強制破面(延性破壊)写真2ボルト破面(除錆前)写真3ボルト破面(除錆後)起点側図2割れの伝播の筋模様模式図(写真3と同じ)+-電解液炭素電極試験体試験体を陰極に接続することで、破面から水素を発生させます。この発生した水素で破面に発生した錆をはく離できます。破面図3電解除錆法


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