新人営業マンのための溶接基礎講座


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で設計製造されている鋼材も多くあります。その中から、よく事例のある中・高炭素鋼と低合金特殊鋼についてその性質と溶接施工上の注意点について説明します。.中・高炭素鋼と特殊鋼の性質一般に溶接構造材に使用されている炭素鋼は、炭素がせいぜい.%以下であるのに対し中・高炭素鋼は.〜.%前後の炭素を含有しています。代表的な物にSCなどの機械構造用炭素鋼、kgレールなどのレール鋼、SK材などの炭素工具鋼などがあります。特殊鋼にはCr、Ni、Mo以外にも合金元素として、タングステン(W)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ボロン(B)、銅(Cu)などが少量含有されています。特殊鋼には多くの種類があり主なものとしてSCM材(クロムモリブデン鋼)、SNC材(ニッケルクロム鋼)などの構造用合金鋼やSUP材などのバネ鋼などがあります。これらの鋼材の共通点は溶接性が考慮されていない点です。焼入れ、焼戻し処理で高強度(強靭性)、高硬度(耐磨耗性)を目的に作られており、溶接による急熱急冷によって熱影響部が著しく硬化し、溶接部の伸びが少なくなり、溶接割れなどの欠陥を生じ易くなるため、溶接の際には溶接材料選定、溶接施工要領に充分注意する必要があります。.溶接施工上の注意点中・高炭素鋼あるいは低合金特殊鋼は溶接用構造材等と比べて専用の溶接材料もなく、溶接方法も確立されたものはありません。また、溶接性を考慮していないため、やむを得ず溶接する場合以外は溶接を避けるべきだと考えます。どうしても溶接をしなければならない時は、鋼材の性質を良く理解し施工する必要があります。-低温割れ(遅れ割れ)通常℃以下で発生する低温割れは基本的に以下の三つの要因が重畳する事で発生します。○溶接金属や熱影響部の硬化(炭素当量の大きい鋼材は焼入れ硬化性が高い)○溶接部の拡散性水素(溶接材料や大気中などから侵入する)○応力(溶接部の拘束度、板厚大)中・高炭素鋼や低合金特殊鋼は、炭素あるいは合金元素を入れ、焼入れ焼戻し処理を行うことで引張強度、じん性(粘さ)を確保するように設計された鋼です。そのため硬化しやすく、アーク溶接時に吸収された水素が硬化した熱影響部、溶接金属に拡散し応力集中部に集積して溶接直後から数日の間に割れが発生するもので低温割れあるいは遅れ割れと呼ばれています。低温割れの防止対策としては、予熱はじめに純粋な鉄(Fe)は強度が低いため、そのままでは、一般の構造物には使用できません。このため、構造物に使用されている鉄は鋼と呼ばれ、鉄に炭素(C)、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)などの合金元素を少量含ませることにより強度を高めた合金鉄です。このつの元素のほかに製鉄原料から不純物として入ってくるリン(P)、硫黄(S)を加えたつの元素を「鋼の元素」といいます。鋼の性質におよぼすそれぞれの元素の影響・効果を表に示します。合金元素のうちで最も鋼の性質に影響の大きな元素が炭素で鋼はその含有量により、低炭素鋼(.%以下)中炭素鋼(.〜.%)、高炭素鋼(.〜%)に分けられます。この他に鋼に、高強度、耐熱性あるいは高温強度、耐食性、低温じん性などを与えるためにクロム(Cr)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)などの合金元素を添加したものがあり、これらの合計が%程度までのものを「低合金鋼」、%以上のものを「高合金鋼」と呼んでいます。.Cr―.Mo鋼などの耐熱鋼や.Ni、Niなどの低温鋼は低合金鋼であり、SUS(Cr-Ni)などのステンレスは高合金鋼です。このように、鉄鋼材料には多くの種類があります。JISに規格化されている主なものを表に示します。これらの鋼材の中には、もともと溶接を想定しない効果強さ、硬さを増加させるが、割れやすくもなる適量のマンガンは強さ、硬さ、粘さの向上に有効であり、また脱酸あるいは硫黄の安定化を目的として添加される脱酸剤として用いられるが、適量の添加は強さを増す有害元素であり、少ない方が望ましい記号nCMSiSP元素名炭素マンガンケイ素硫黄リン表鋼の元素の主な効果大別中別普通鋼特殊鋼鋼鉄鋳鋼鍛鋼鋳鉄小別構延鋼材構造用合金鋼鋼材工具鋼鋼材特殊用途鋼鋼材炭素鋼鋳鋼構造用合金鋼鋳鋼特殊用途鋼鋳鋼炭素鋼鍛鋼構造用合金鋼鍛鋼ねずみ鋳鉄球状黒鉛鋳鉄可鍛鋳鉄表JIS記号例SS,SB,SV,SMS-C,SCr,SMn,SMnC,SCM,SNCSNCM,SACM,SGV,SBV,SQVSK,SKS,SKD,SKT,SKHSUS,SUH,SUJ,SUP,SUMSC,SCWSCC,SCMn,SCSiMn,SCMnCr,SCMnMSCCrM,SCMnCrM,SCNCrMSCS,SCH,SCMnHSFSFVC,SFVAFCFCDFCMB,FCMW,FCMPJISによる鉄鋼材料の分類11|年月号(春号)※本稿は掲載当時の情報です。詳しくは(株)神戸製鋼所にご確認ください。新人営業マンのための溶接基礎講座第回『中・高炭素鋼および低合金特殊鋼の溶接』


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