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はじめに低合金耐熱鋼は主に石油精製、火力発電、原子力発電などの圧力容器に使用される鋼材で高温あるいは高圧部材として使用されています。これらの機器や構造物は、℃〜℃の高温で使用されており、最低でも年以上の寿命が求められます。したがって、使用される鋼材は、長時間にわたる高温・高圧下での強度のほか、水素による激しい剥離現象や割れ、硫酸などの激しい腐食環境に耐えられる性質が求められています。火力発電所で使用されているボイラー等の圧力容器用として、年程前から低合金耐熱鋼が使用されるようになりました。適用の一例として写真は、原油からガソリンや灯油、軽油を抽出するプラントで使用される反応搭(リアクタ)です。.低合金耐熱鋼の特性低合金耐熱鋼は高温度、高圧力下で使用されるため、高温強度、耐食性、耐酸化性が要求されます。そのため、これらの要求を満たすために炭素鋼にマンガン(Mn)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)等の合金元素を含有させ高温強度やクリープ特性(下記に説明)、耐食性などが向上するように設計されています。図にクリープ強さに及ぼす合金元素の影響を示します。低合金耐熱鋼とは、高温で使用される鋼の総称となっています。代表的な鋼種として、マンガンモリブデン鋼(Mn-Mo鋼)、マンガンモリブデンニッケル鋼(Mn-Mo-Ni鋼)、クロムモリブデン鋼(Cr-Mo鋼)などがあります。-高強度耐熱鋼近年リアクタやボイラーの使用条件が高温・高圧化するにつれ、鋼材にも高強度化が要求されるようになりました。高温下での強度保持は勿論ですが、特にクリープ破断強度が要求されています。この要求に応えたものが高強度低合金耐熱鋼と呼ばれ、現在では低合金耐熱鋼にバナジウム(V)を添加した鋼が主流となっています。代表的な鋼としては、ボイラー用〜%Cr-Mo-Vフェライト系耐熱鋼、リアクタ用.%Cr-%Mo-V鋼などがあります。クリープとはどのような特性なのでしょうか。簡単に《クリープとは》説明します。耐熱鋼の重要な要素であるクリープ特性とは、鋼材に力を加えた場合、それが弾性変形の限界点である降伏点応力以下の低い値であっても塑性変形が進行し、場合によっては、破断することがあります。静的な応力の作用下で時間の経過とともに変形が進行する現象をクリープ(Creep)といい、クリープが進行した後の破断をクリープ破断といいます。温度が高くなるほど変形速度(クリープ速度)は速くなります。リアクタやボイラーなどの高温で長時間使用される機器、構造物では重要な問題となります。クリープは、万時間に%の変形を与える応力(クリープ強度)と万時間で破断が生じる応力(クリープ破断強度)で評価します。クリープは、機器設計の基本となる許容応力を決める重要な要素です。しかし、実際は万時間のクリープ試験は困難な為、千〜万時間のデータに多くの経験を重ね合わせて許容応力が設定されています。.低合金耐熱鋼の溶接時の注意点Mn,Cr,Moなどの合金元素が添加された鋼は、加工や熱などにより自らが硬くなる性質(自硬性)があります。{N/mm2}200150100505CrCoNi427℃0.0001%hrMoMnSi24添加元素(at%)312520151050クリープ強さ(kg・/mm2)写真多管式リアクタ種鋼Mn-Mo0-0.5%Cr-0.5%Mo1-1.25%Cr-0.5%Mo2.25-3%Cr-1%Mo5-9%Cr-0.5-2%Mo予熱温度℃150-250100-125150-300200-350250-300PWHT℃590-650620-680650-700680-730710-780表低合金耐熱鋼の予熱、PWHT温度図フェライト地のクリープ強さに及ぼす合金元素の影響19|年月号(初夏号)※本稿は掲載当時の情報です。詳しくは(株)神戸製鋼所にご確認ください。新人営業マンのための溶接基礎講座第回『低合金耐熱鋼の溶接について』