用語解説


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アッパーシェルフ船舶や橋梁、タンクなどの鋼構造物が、亀裂の示すような切欠を持つ試験片を数々の温度で破壊伝ぱによって瞬時に破壊する現象(脆性破壊)は、し、それに必要なエネルギー(吸収エネルギー)数々の事故例を通して、皆さんよくご存じのことや破面形態(延性破面率・脆性破面率)を調べると思います。ものです。図2に、このシャルピー衝撃試験の吸一般に金属の破壊は、この脆性破壊と延性破壊収エネルギーおよび延性破面率と試験温度の典型の二つに大別できます。延性破壊とは、材料が破的な関係(遷移曲線)を示します。低温側では、壊する場合に、大きな塑性変形をした後破壊する脆性破壊が起こりやすいため吸収エネルギーも低もので、鋼の室温引張試験を行った場合に、そのく、破面も白くキラキラ光って見える脆性破面の試験片がくびれを生じて伸びた後破壊することな占める割合が多くなっています。ところが、試験どは、この一例です。これに対して脆性破壊とは、温度が上がるにしたがって、延性破壊が起こりや塑性変形を伴わない破壊のことで、延性破壊と違すくなり、破断面が塑性変形を起こすようになりって低応力で発生し、さらにこの破壊が極めて速ます。こうなると、吸収エネルギーも高くなり、く伝ぱすることが特徴です。例えば、ガラスや瀬破面は鈍い灰色を呈する延性破面の占める割合が戸物の破壊はこの一例で、壊れた破片を合わせて多くなります。さらに温度が上昇すると、延性破みると全然変形していないので、簡単に復元でき面率が100%となり、吸収エネルギーはほぼ一定のるのがその特徴です。値に収束するようになります。この吸収エネルギ鋼材や溶接金属の脆性破壊に対する感受性を調ーが試験温度に対してほぼ一定となった領域のこべる試験としては、種々の方法がありますが、中とをアッパーシェルフ(上部棚)と呼んでいます。でも、その簡便さから最も多く使用されるのがシただ、このアッパーシェルフもある温度以上で恒ャルピー衝撃試験でしょう。この試験は、図1に久的に続くわけではなく、試験温度をさらに上げてゆくと、今度は吸収エネルギーが下がってくる現象が見られます。従って、このアッパーシェルフにおける吸収エネルギーは、個々の材料が取り得る吸収エネルギーの最高値ということができます。一般の構造物では、こういった安定領域の吸収エネルギー値は大して問題視されませんが、原子力圧力容器用材料については、以下に述べますような中性子照射脆化の観点から、重要な値といえます。原子炉用材料が原子炉稼働中に中性子照射の影響を受けて脆化することは広く知られていますが、この脆化は、遷移温度が上昇するだけでなく、アッパーシェルフエネルギーも低下することが、米国NRCRegulatoryGuideなどでも明らかにされています。また電気技術規程JEAC4201やASTME185などの原子炉構造材の監視試験方法には、中性子照射による材料の機械的性質の変化を調査する際に、遷移温度の上昇量と併せて、アッパーシェルフエネルギーの減少量を求めて、照射脆化の評価を行うよう規定されています。(1985年9月号)7脆性破面脆性破面


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