用語解説


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慣性モーメント(MOMENTOFINERTIA)マニピュレータを設計する時に、留意しなけれ転速度を変化させているのです。ばならない物体の動作特性を表す慣性モーメントこの性質を数式で表すと次のようになります。について簡単に説明します。回転軸周りの地面の石を蹴り動かしてもすぐに止まってしま慣性モーメント:I=Σmiri2いますが、滑らかな氷の上に石を滑らせるとほぼ剛体を構成する各質点の質量:m一定の速度で滑り続け、なかなか止まりません。回転軸から各質点までの距離:rこれは石に対する摩擦等の外力の働き加減から生次にフィギュア・スケートを例に説明します。じる運動状態の変化によるものです。つまり、摩あるスケーター(体重m)が腕を広げた場合(回転擦等外力が作用しなければ物体の運動の様子は変半径r1)の慣性モーメントをI1,腕を身体に近づけわりません。このように物体がもとの運動状態をた場合(回転半径r2)の慣性モーメントをI2としま保持しようとする性質を慣性と言います。す。r1>r2ですから前式よりI1>I2となります。しかし、回転運動については少し違ったことがつまり、回転軸からの質量の配分を大きくした起こります。猫はこのことをよく心得ていて、逆り、小さくしたりすることで回転しにくくさせたさ吊りにした姿勢で落されると、空中で宙返りしり、しやすくさせたりするわけです。この性質をて見事に着地します。つまり、猫の動作は回転な物体の慣性モーメントと言います。しの状態から外力なしに回転運動を起こし得るここのように、慣性モーメントを小さくすることとを証明しているのです。その一連の動作を追っにより回転をしやすくすることができることは理てみると、猫は前脚を身体に近づけ前脚とともに前半身をね解して頂けたでしょうか。マニピュレータの設計において、常に慣性モーメントを小さくするようじる。この時、後脚は身体から遠くへ伸ばしてな設計を心掛けています。これはマニピュレータおり、後半身の回転はごくわずかである。の質量を如何に軽く設計するかに大きく関わって前半身が適当に回ったとき、前脚を身体からいます。重量を抑え、慣性モーメントを小さくす遠くへつき出し、後脚を身体に近づけ後半身をることにより、駆動部の伝達容量あるいは強度をひねる。このとき前半身は逆向きに回るが、そ下げることができ、その結果、材料コストも下がれはわずかである。ることにつながるのです。また、メンテナンス時このように、猫は脚(質量)の位置を身体(回の労力も少なくて済むことになります。転軸)に近づけたり遠ざけたりすることにより回慣性モーメントは、猫、フィギュアスケータ、I1(a)(b)マニピュレータに限らず物体が存在する限り色々な面で我々の日常生活に関わっているのです。お腹の周りの贅肉を落とし、フットワークの良い仕事を心掛けたいものです。I2参考文献戸田盛和著:物理入門コースⅠ猫が落ちる様子フィギュア・スケートの回転演技力学、第17刷岩波書店(1999年4月号)207


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