用語解説


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フェライトバンド1.フェライトバンドとはあった溶接金属の組織がオーステナイトに変化するフェライトバンドとは溶接金属に高温・長時間の温度)が異なる。このため,ある温度以上に加熱された場合,Ac1変態点の低い部分は優先的にオーステナイトへ変態する。オーステナイトは周囲のCを吸収する*2)ため,周囲のC濃度が下がり炭化物の分解も生じるのでフェライトが生成する。3.フェライトバンドを抑制するにはフェライトバンドを抑制するには過度に高温・長時間のPWHTを避けることが重要であるが,それ以外に予熱・パス間温度や溶接電流・電圧を適性に保ち冷却速度を大きくしないこと,また,溶材選定面からはVやNbなどの強い炭化物形成元素を少量含有させた材料を使用する*3)ことも効果的である。PWHT(溶接後熱処理)を施したときに溶接金属中に帯状に生成するフェライト組織(図1.)のことである。フェライトバンドは少量の合金元素を含む低合金耐熱鋼や高張力鋼の溶接金属で認められる現象であるが,特に溶接後に比較的高温・長時間のPWHTCr-Mo鋼溶接金属において機械的性能の劣を行う化を引き起こして問題となる場合が多い。例えば,Cr-Mo鋼溶接金属の引張強さはPWHT温度の高温化,PWHT時間の長時間化に伴い漸減するが,特に高温・長時間の場合に著しく劣化(低下)する。これがフェライトバンドの生成によるものである(図2.)。フェライトバンドの生成は引張強さだけでなく,クリープ破断性能も劣化させる。.フェライトバンドの生成メカニズム2フェライトバンドの生成については,大きく分けて*1)溶接金属中の合金元素濃度に応じてCの活量が変化以下の2つのメカニズムが提案されている。[1]溶接部では凝固偏析のために部分的に合金元素の濃度が異なる。この合金元素の濃淡に起因してCの移動が生じるため*1),部分的にC濃度が下がり,フェライトが生成する。する。この活量差を駆動力としてCの移動が生じる。*2)オーステナイトはCの固溶度が大きいためフェライト+炭化物⇒オーステナイトへCの移動が生じる。この際,炭化物の分解も生じる。*3)VやNbはCとの結合力が強いためCを固定することでフェライトバンドを抑制できる。[2]溶接部では凝固偏析のために部分的に合金元素の濃度が異なる。この合金元素の濃淡に依存して((株)神戸製鋼所溶接カンパニー技術開発部Ac1変態点(すなわち,ベイナイトやマルテンサイトで坂田幹宏)フェライトバンド発生700650600550500450400室温引張強さ(MPa)18.019.0P=T(20+logt)×10-320.021.0(T/K,t/h)22.0720×20690×20690×30750×10690×10720×1650×10690×1650℃×1hr図2.1.25Cr-0.5Mo鋼溶接金属のPWHT後の室温引張強さに及ぼすフェライトバンドの影響2009年3月ベイナイト組織フェライトバンド図1.1.25Cr-0.5Mo鋼溶接金属に生成したフェライトバンドの一例353


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