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予熱低減HT780鋼高張力鋼の溶接施工では、母材および溶接金属予熱温度が必要とされていました。これはPcmをの低温割れ(水素による遅れ割れ)を防止するた低くして、換言すればCをはじめとする合金元素め、鋼板の強度レベル、板厚、溶接方法(水素レ量を減少して、HT780鋼に必要な機械的性能や溶ベル)に応じた予熱が必要になります。このうち接継手性能を得ることが困難だったためです。し母材の低温割れはHAZが硬化するほど発生しやかし、最近になって鉄鋼大手5社が相次いで橋梁すくなり、予熱は冷却速度を遅くしてHAZの硬化用の予熱低減HT780鋼を開発しました。図1は神を抑制するとともに水素の拡散放出を促す役割を戸製鋼の予熱低減HT780鋼のy形溶接割れ試験結します。しかし作業環境(とくに現場溶接)、コス果を示したものですが、従来鋼に比較して格段にト面、あるいは局部加熱によるひずみの発生など優れた耐割れ性を有していることが分かります。から、その省略や低減が強く要望されています。またMAG溶接による仮付けを想定した割れ試験HAZの割れを防止するためには、Pcm(溶接割では、室温でも割れは発生していません。れ感受性組成)1)、とくにC量を抑えてHAZが硬く予熱低減HT780鋼にはCu析出強化型(新日本製ならないようにしなければなりません。1970年代鐡)2)と低Pcm型(神戸製鋼など4社)3)があります。には、Pcmを低減した610N/㎜2級の耐溶接割れ性いずれもC量を低く抑えて耐割れ性の向上を図っ鋼(一般にはCF鋼と呼ばれる)が実用化され、球ていますが、これが可能となったのは、TMCP技形タンクをはじめとする重要溶接構造物の安全性術の発展や最適化学成分の探索の成果によるもの向上に貢献しています。です。その後、構造物の大型化に伴って780N/㎜2級高開発された鋼板はあくまでHAZの耐低温割れ張力鋼も多く適用されるようになっていますが、性を改善したものであり、多層溶接金属に発生すこのクラスでは依然として100℃程度以上の高いる低温割れは全く別の問題です。予熱温度を低くすることは、溶接金属に対しても厳しい条件となります。従って、この鋼板の特性を活かす(予熱温度を下げる)ためには、水素が低く抑えられた溶接材料を用いることが大切です。予熱低減HT780鋼は、現在建設中の明石海峡大橋に採用され(最大板厚34㎜)、最低予熱温度は従来鋼の100℃から50℃となり、製作面で大きく貢献しています。今後橋梁以外にも用途拡大が図られるものと思われます。参考資料1)WES3001―19902)岡村他:橋梁用Cu析出強化型予熱低減HT780について、技術セッション「溶接構造物に対する新技術の挑戦」、溶接学会関西支部、1994,12/33)下田他:橋梁用低Pcm型予熱低減HT780鋼について、同上(1995年3月号)163