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溶接ロボットオペレータ教育

溶接ロボットのオペレータ育成は最近ますます重要になってきています。ロボットの教示及び検査等の業務はマニピュレータの可動領域内で動力源を切らないで行うこともあり、危険を伴う作業となります。これらの業務を実施する専任者は労働安全衛生規則で特別教育実施(教示等又は検査等の業務の2コース)が義務づけられています。また、可動範囲内の上記専任者と共同で作業する可動範囲外の作業者も特別教育が必要です。その法令上必要なカリキュラムを表1に示します。この産業用ロボットの特別教育は事業者が実施することが法令上定められていますが、実際には公的機関やロボットメーカーが代行実施して特別教育修了証を発行していることがほとんどです。



表1.安全衛生特別教育規程

1.産業用ロボットの教示等の業務に係る特別教育
労働省告示 第49号 安全衛生特別教育規定 第18条
学科教育科目範囲時間
産業用ロボットに関する知識 産業用ロボットの種類、各部の機能及び取扱いの方法 2時間
産業用ロボットの教示等の作業に関する知識 教示等の作業の方法、教示等の作業の危険性、関連する機械等との連動の方法 4時間
関係法令 法、令及び安衛則中の関係条項 1時間
実技教育科目時間
1.産業用ロボットの操作の方法 1時間
2.産業用ロボットの教示等の作業の方法 2時間
2.産業用ロボットの検査等の業務に係る特別教育
労働省告示 第49号 安全衛生特別教育規定 第19条
学科教育科目範囲時間
産業用ロボットに関する知識 産業用ロボットの種類、制御方式、駆動方式、各部の構造及び機能並びに取扱いの方法、制御部品の種類及び特性 4時間
産業用ロボットの検査等の作業に関する知識 検査等の作業の方法、検査等の作業の危険性、関連する機械等との連動の方法 4時間
関係法令 法、令及び安衛則中の関係条項 1時間
実技教育科目時間
1.産業用ロボットの操作の方法 1時間
2.産業用ロボットの検査等の作業の方法 3時間



この内、ロボットメーカーが実施するオペレータ教育(通称ロボットスクールの各種メニューの一つ)はロボット操作の習得が主目的ですが通常は上記特別教育も含んでいます。教示作業向けコースの代表例としては基本コース(教示向け特別教育+メーカー専用の操作教育をセットで2日程度)と応用コース(基本コースに加えて、パソコンからのデータ入力、前処理工程、施工トラブル対応などを入れて3日程度)から成り立っています。前者は特別教育を含んでいるので受講し修了すれば法令上ロボット操作が出来るコースで、後者は各ロボットメーカーが独自に内容・時間を決めています。この応用コース修了者は基本コースも同時に修了するので鉄骨ロボットのオペレータ向けに一般的によく行われています。コベルコロボットサービス㈱で行われている教習風景を写真1と2に示します。

座学教育の例
写真1.座学教育の例
実技教育の例
写真2.実技教育の例

ロボット導入事業者は産業用ロボット特別教育を実施した場合にはその教育実施記録を作成し3年間保管することが義務づけられています。コベルコロボットサービス㈱ではオペレータ教育終了時に教示等業務に係る特別教育の実施記録と修了証をお渡ししています。


参考文献
大型構造物ロボット溶接教本(竹内・菅共著、成山堂書店、1998 年)
神鋼溶接棒だより技術がいど1987 年2月号、3月号(㈱神戸製鋼所)
産業用ロボットの安全必携(厚生労働省安全課編、中央労働災害防止協会)

コベルコロボットサービス(株) 岡田 雅志

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