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有限会社 清藤鉄工所


事業拡大に伴う最適生産体制の構築
- 有限会社 清藤鉄工所

山形県尾花沢市は、山形県の最北東の尾花沢盆地に位置します。標高は70mから1,500mと起伏に富み、西に最上川、東に奥羽山脈や出羽丘陵などの山々に囲まれた盆地を形成しています。短い日照時間と低温、多湿、多雪のため、春の融雪が遅く、農耕期間が短いのが尾花沢盆地の特徴です。「花笠踊り」発祥の地でも知られ、盆地ならではの昼夜の寒暖の差を活かした「日本一のスイカの生産地」としても有名です。冬の季節風が月山や御所山等の稜線にさえぎられ、雪を多く降らせるため、平野部でも積雪量が2mに及ぶことがある豪雪地帯でもあります。今回はこの尾花沢市に工場を構える有限会社清藤鉄工所殿を訪問し、清藤社長、清藤副社長、草刈専務、柿崎顧問、田中工場長にお話しを伺いました。

本日はお忙しい中、お時間を頂きましてありがとうございます。また日頃より神戸製鋼所の溶接材料ならびに溶接システムをご愛顧頂き、誠にありがとうございます。早速ではありますが、御社の概要についてお聞かせ下さい。

当社は昭和52年に山形県尾花沢市に創業致しました。地域一帯の主要産業は農業ですが、寒冷地ということで冬の仕事はほとんどありません。その期間は出稼ぎで他の地域で働くことが多いのですが、地元で行える仕事は何かないだろうか?ということで、冬場も工場内で働ける建設業を創業致しました。山形県内の建設業者としては比較的後発組にあたるため、地元の物件を請け負うことは少なく、県外の仕事を中心に行ってきました。

資本金が少なく、また知名度も低かったため、創業当初は外から見ても安心して仕事を任せられる会社と思ってもらえることは少なかったように思います。ただし経営理念にある「工事の結びと共にお客様の笑顔がこぼれる『喜業』であり続けたい」という信念を持って、お預かりした工事を全身全霊で応えることを継続してきました。その結果、請け負った仕事内容に満足され、リピートだけでなく、口コミで他のお客様を紹介されることも多くなり、継続して仕事量が増えております。至近では首都圏の物件比率も高まってきたため、板厚60mmまでの柱や梁の製造にも対応できるよう、昨年にHグレードを取得致しました。

御社の特長についてお聞かせ下さい。

当社の特長は協力会社との密接な関係にあります。総量として20,000t/年を加工していますが、そのうちの半分以上は協力会社が行っています。至近は業界全体で、設計段階での図面遅れによる工期遅れのしわ寄せがファブ側にきていることが問題視されていますが、納期遅延を一度も発生させたことがないことが当社の自慢です。県内外において、常時製作協力工場が20社程あり、一貫してのCADデータによる発注の他、協力業者の負担軽減を重視した製作の優先順位指示により、分離分割納品がスムーズに対応できるシステムを常態化しています。加工量の増加と共に高品質な製品及び納期順守の徹底が難しくなってきていますが、互いの部門責任者同士による常日頃の現場を周知したコミュニケーションにより、お互いの仕事状況を把握し、無理のない生産計画が組むことできており、そういった面でお客様への安心感を提供できていると思います。

「 品質と納期管理」が御社の強みと伺いましたが、神鋼の溶接ロボットを導入されたこともそういった考えからでしょうか?

2015年に御社のREGARC™ 2 アーク柱大組とREGARC™ コア連の計2式を「ものづくり補助金」を活用し導入しました。協力会社との品質・納期管理は滞りなく運用できていましたが、社内生産比率を上げていくことを今後の課題としており、そのためには生産効率の向上と納期管理が実現できる溶接ロボットの導入が不可欠と判断しました。

現在はロボットの稼働率が高まっており、高品質な溶接と、生産の見える化が実感できる機会も多くなってきており、非常に満足しております。

REGARC™ 搭載 柱大組ロボット
REGARC™ 搭載 柱大組ロボット
一次加工機
一次加工機

ご使用されている神鋼の溶接ロボットシステムと溶接材料についての評価、今後のご要望についてお聞かせ下さい。

事前に聞いていましたが、ロボットでの溶接外観のきれいさに驚かされました。またほぼ溶接欠陥が発生せず、夜間稼働できる点も大径・厚板物件の増えてきた当社にとって高いメリットがあると感じています。

ロボットとの組み合わせになるREGARC™ 専用ワイヤ起因でのトラブルは発生しておらず、材料自体に非常に使いやすいイメージを持っています。また梁のすみ肉溶接に対し、FAMILIARC™ DW-50BFを使用していますが、製品パンフレットの特長通りの大脚長ビードが引けています。ただし大脚長の指定物件ばかりではないので、今後は用途に応じた最適な溶接材料を使い分けていきたいと考えています。

今後の要望としては、溶接ロボットのメンテナンスサポート体制の充実をお願いしたい。急激に鉄骨ロボットが普及し、メンテナンス人員が不足していることは理解していますが、トラブル時に訪問までに数日かかるようでは安定した生産計画を組むことは難しい。簡単なトラブル復旧はFAB側の技量不足と認識していますが、技術的なトラブルは対応できないので、是非とも前向きに検討頂きたいと考えております。

貴重なご意見をありがとうございました。メンテナンス人員の不足については当社の課題と認識しておりますので、今後体制が拡充できるように努力して参ります。御社の今後の取組みについてお聞かせ下さい。

東京オリンピックに関わる大型プロジェクトや首都圏の再開発等、今後4~5年間は大型物件の特需に伴い、当社の業績も順調に推移していくものとみています。関東地区を主とした既往の安定した大口受注の確保と共に、生産性と製品精度の向上および内製化の拡充を高めていくことを狙いとし、至近の3年で工場新築増設と積極的な機械導入による社内再編計画を進めてきました。来春の新工場増設稼働で一旦区切りとなります。

今後数年は闇雲な事業拡大ではなく、しっかりとした人材育成を行い、企業としての足元固めに取り組んでいきたいと考えております。

増築工場外観(梁加工場)
増築工場外観(梁加工場)
新工場外観(柱加工場)
新工場外観(柱加工場)
新事務所外観
新事務所外観

溶接材料につきましては、グループ会社の神鋼溶接サービスと共に技術指導や講習会を開催しております。貴社の人材育成にご協力をさせて頂きたいと考えておりますので、今後も是非お気軽にお声掛け下さい。


ご多忙の中、取材にご対応頂きました清藤社長、清藤副社長、草刈専務、柿崎顧問、田中工場長には心より感謝を申し上げます。今後とも溶接全般において相談できるパートナーとして努力して参ります。最後になりますが、有限会社清藤鉄工所の皆様の益々のご発展とご多幸を祈念申し上げます。

清藤社長
清藤社長
清藤副社長
清藤副社長
草刈専務
草刈専務
田中工場長
田中工場長

レポーター:三好 寛明
(株)神戸製鋼所 溶接事業部門 マーケティングセンター
国内営業部 東日本営業室 東北営業所


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