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株式会社ステントス


『人の手』を活かした確かな技術力
ー 株式会社ステントス

広島県の西部にある広島市は、県内を流れる太田川の河口に開けた三角州上に形成された街が特徴的で、市の南は瀬戸内海に面しており、その水運を活かした開発が進められていきました。

古くは戦国時代、毛利輝元が三角州上の最も広い島に築城したことから、「広島」と命名したと言われており、干拓事業や港の整備が代々行われ、当時の日本でも有数の人口を誇る街へと成長していきました。戦後は、重工業や自動車産業が広島の発展を支え、今では中国・四国地方最多の人口を有する都市となりました。

最近では、今年5月にG7サミットが広島県で開催され、各国の首脳たちが平和記念公園を訪れ、献花と黙とうを捧げたことも記憶に新しいでしょう。

今回は、広島市南区宇品に本社工場を構える、株式会社ステントスを訪問し、小川工場長、佐藤課長のお二方にお話を伺いました。

小川工場長
佐藤課長

本日はお忙しい中、貴重なお時間を頂戴し、ありがとうございます。また、日頃より弊社製品をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。まず、御社の沿革や事業内容についてお聞かせください。

社屋外観

腕章

当社は昭和13年4月に、広島市皆実町に山本鉄工所として創業し、今年で85周年を迎えました。事業内容としては、創業以来、鉄鋼製品の製作に関わり、昭和33年に現在の所在地に移転しました。その後、昭和45年には可部工場(広島市安佐北区)を建設、2工場を合わせた生産能力は月産1,000㌧となりました。昭和56年には、多くの方々のご支持のおかげで、Hグレード工場認定を取得し、現在まで更新を続けております。

現在の【ステントス】という社名ですが、平成16年に変更したもので、ステンレスのように「朽ちない、錆びない」企業を目指し、お客様からいただいた仕事をバレーボールのトスのようにより高く上げることができるようにと考えたものです。

また、社屋に架かっている「一休さん」の絵ですが、会長(前社長・山本 忠男様)の意向で、現社長(山本 泰徳様)が出版社・著者の了承を得たうえで、コーポレートマークとして使用しているものです。心の健康が大切だといった思いが込められております。

そんな御社の得意分野・強みをお聞かせください。

当社の強みとしましては、3DCADを駆使した複雑な構造物や意匠性に富んだ構造物などを、すべて『人の手』によって製作しているところです。

実際に当社は溶接ロボットを導入していませんが、その分従業員一人一人の技量を向上させることを大事にしています。具体的には、ベテラン社員から若手社員への技能継承を日ごろから行い、品質の安定化に努めています。また、従業員に各種資格を積極的に取得させることで、会社全体として技術向上を図っています。特にAW検定試験においては、工場溶接試験だけでなく、工事現場溶接試験や鋼管溶接試験も取得することで、さまざまな案件に対応できる体制を整えています。

『人の手』へのこだわりは、どういったお考えからできたのでしょうか。

私自身、「鉄骨は正直者」だと考えています。といいますのも、鉄鋼製品は熱意を持って、人の手を掛ければ掛けるほど、より良い品質の製品ができます。反対に、人の手の掛け方がそれなりであれば、製品の品質もそれなりになってしまいます。掛けた時間、努力が仕上がりに如実に反映されるため、「鉄骨は正直者だ」と思う訳です。だからこそ、人の手でつくることが大切であると考えています。過去の失敗などを真摯に顧み、より良いものを作るために、次はもっと手を掛けていく。出来上がった製品を受け取ったお客様のことを想像しながら、日々熱意を持って製作にあたっています。こういった姿勢をお客様にも評価いただいており、手間のかかる案件など、遠方であっても声をかけていただけることが増えてきています。

溶接風景
工場内観

ワークの一部

鉄鋼への並々ならぬ熱い思いを感じました。続けて、ご使用いただいております弊社溶接材料について、ご意見・ご要望などお聞かせください。

本社工場では、[F]MG-56と[F]DW-Z100をメインに使用しており、完全溶込みが求められる箇所ではソリッドワイヤを、すみ肉溶接ではフラックス入りワイヤを使用するといった使い分けを行っております。他にも手棒の[F]ZERODE-44や、フラックス入りワイヤの[F]DW-100Vなども案件により使用しております。特に[F]DW-100Vに関しては、立向き上進重視でありながら、全姿勢の溶接も可能ということで、AW検定試験の鋼管溶接試験において使用しています。

また、御社の溶接材料を長く使用していますが、品質が安定していると感じています。当社の品質安定のためには、溶接材料の品質安定も欠かせない要素だと認識していますし、実際に溶接を行う作業者も安心して使用することができるため、今後も引き続き安定した品質の製品提供をお願いしたいと思います。

ご意見・ご要望、誠にありがとうございます。弊社としましても、安定した品質の製品生産を続けて参りたいと思います。

本日は、お忙しいところお時間をいただきありがとうございました。最後に御社の今後の取組みや抱負についてお聞かせください。

85年の歴史のなかで培ってきたノウハウを活かしつつ、新しい技術にも果敢にチャレンジしていきたいと考えています。特に、至近は環境問題への対応が喫緊の課題となっている中、鋼材もそういった環境問題に配慮したものに変わっていくと思います。そのような環境変化にも対応しながら、引き続き社会の発展に寄与できるよう努めていきたいです。

また、遠方のお客様からお声掛けをいただくことも増えており、最近は沖縄県などの案件を受注し着実に実績を伸ばしています。今後は日本の北にも目を向け、関東圏以北の案件に関しても、積極的にチャレンジしていきたいと考えています。

ご多忙の中、取材にご協力いただきました小川工場長、佐藤課長には、心より御礼申し上げます。

今回の取材を通して、『人の手』によるモノづくりへの思いや、社会のために会社全体で良い製品を作っていきたいという強い情熱を感じました。

最後になりますが、株式会社ステントスの皆様の今後益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。


レポーター:田中 碧生
(株)神戸製鋼所 溶接事業部門 マーケティングセンター
国内営業部 西日本営業室 中国営業所


※文中の商標を下記のように短縮表記しております。
FAMILIARC™→ [F]

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