福井県東部に広がる大野盆地に位置する大野市。この大野盆地の西側にある亀山(標高約250m)には越前大野城がそびえ立ち、眼下に雲海が広がることがあることから「天空の城」とも呼ばれ、織田信長に仕えた金森長近が初代城主となった越前大野城は、県指定文化財にも指定されています。また山麓には城下町が広がっており、今もなお、戦国時代の面影を残す、風情のある山あいの街です。
そんな歴史のある大野市に工場を構えている株式会社遠藤鉄工所様を、日頃からご協力いただいている、株式会社ヤマモトスチールの東様と訪問し、遠藤副社長にお話を伺いました。
本日はお忙しい中、お時間を頂戴しありがとうございます。また、日頃より神戸製鋼の溶接材料、ならびに溶接ロボットシステムに格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。早速ですが、御社の概要についてお聞かせください。
当社は1967年に創業しました。創業当時は福井県内の建築物件を中心に仕事をしていました。現在は県内だけではなく、関西地方や中部地方の案件も手掛けております。弊社は2019年(令和元年)に本社社屋、工場を新設し、最先端の自動化設備を積極的に導入したほか、従来の鉄工所のイメージを覆すような、赤と黒を基調とした斬新なデザインの工場を完成させました。業種柄、人材確保は容易ではありませんが、最新鋭の工場・自動化設備・教育体制を構築しており、若者にとって働きがいのある職場環境を整えています。また地元TV CMによる知名度向上なども通じて、若手人材の積極的な採用活動に注力していきたいと考えています。
神戸製鋼の溶接ロボットシステムである天吊マルチワークシステム1式、柱大組立2アークシステム1式、小型可搬型溶接ロボットの 石松™ を2式保有いただいておりますが、導入の経緯をお教えいただけますか。
弊社は、工場が手狭だったこともあり、近隣のファブリケータが溶接の自動化を進める中でも、ロボット導入を我慢し、見送ってきました。しかし、物件の大型化に伴う生産能力の向上、従業員の働きやすさを考えた際に、溶接ロボットシステムの導入は不可欠だと感じ、新工場の新設を行った2019年に天吊マルチシステムを導入しました。当時は、溶接ロボットシステムがどれだけ貢献してくれるのかは未知数でしたが、導入後すぐに効果が表れ、生産能力が大幅に向上しました。また、溶接工程の時間短縮により、従業員にとっても働きやすい環境になったことは大きな収穫だったと思います。現在では柱大組立2アーク1式、小型可搬型ロボットの 石松™ 2式も保有することとなり、弊社にとって大きな戦力となっています。
今年、当社の新商品であるパス間温度測定機能を導入いただきましたが、こちらの導入経緯についてもお聞かせください。
弊社は溶接ロボットシステムを導入して以降、旧来からの鉄工所のイメージを変えるために、生産性向上を図り、業界の最先端を走っていきたいと考え、良いモノには投資を惜しまず積極的に設備投資を行ってきました。その中で神戸製鋼の営業担当者から業界初の商品であるパス間温度測定機能を紹介され、導入を決意しました。従来は従業員が温度を測定しており、非効率な工程となっていたことや、温度測定後の記載ミスなど、ヒューマンエラーのリスクも想定されることから、自動化の必要性を感じていました。パス間温度測定機能導入後は効率的に生産することが可能となり、対外的にも信憑性のあるデータを提出することができるようになった点は、良かったと思います。何より従業員の安全性を大幅に改善することができ、大変満足しています。
当社溶接ロボットシステムについての評価、今後のご要望についてお聞かせください。
梁溶接に関するロボットシステムのさらなるブラッシュアップに期待したいです。梁溶接ロボットシステムはすでに商品ラインナップにありますが、どうしてもセンシングに時間を要する点や、部材の多さからパソコン上の入力に時間を要する点が課題であると思います。この時間を短縮できれば、鉄骨業界の自動化に大きく貢献すると感じています。溶接に関するリーディングカンパニーである神戸製鋼に大いに期待しています。
また、弊社は若手人材の育成にも力を入れているので、溶接に関すること、溶接ロボットシステムに関することなど、勉強会などがあるとありがたいです。溶接に関するノウハウを持った神戸製鋼ならではの取組みであり、我々ユーザのレベルアップや満足度向上に繋がるサービスになるのではないか、と思います。
貴重なご意見ありがとうございます。今後も鉄骨業界に貢献できるよう尽力して参ります。それでは最後に、御社の今後の取組みや抱負を教えてください。
若手人材には鉄骨業界で働くこと、弊社で働くことに誇りを持ってもらえるような会社を目指します。そのために、安全でクリーンな職場環境作りや、自動化に繋がる最先端設備への積極的な投資を行い、鉄工所のイメージを大きく変えていきたいと思います。また、地域からの若手人材の流出を防ぐべく、近隣の同業他社の方々と協力し、地域活性化に貢献していきます。
本日はご多忙の中、取材にご協力いただきましてありがとうございました。
取材の中で、「若手人材が働きたいと思う職場を作りたい」というお話を伺い、昨今の人材不足に対して、柔軟な発想で現状を打開する意思を強く感じました。また、そのような取組みは間違いなく今後の鉄骨業界の発展のためにも必要だと感じました。
最後になりましたが、株式会社遠藤鉄工所の皆様の今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。