営業部ニュース

新人営業マンのための溶接基礎講座

第1回 『ながし』

『ながし』について

溶接現場で「ながし」、「ダウン」あるいは「下進」という言葉を耳にしたことがあると思います。「ながし」とは「流し溶接」のことを示しており、立向下進溶接のことを言います。立向下進溶接は、上から下へ溶接していくと溶融池（プール）が重力に引っ張られ、下方向に向けて流れていくことから「ながし」と呼び慣わされたものと思われます。

立向下進溶接では、溶接速度が速いため溶接箇所の肉厚が比較的薄く、溶融池が垂れ下がってくるため溶込みが浅くなり、またのど厚が確保しにくいことから強度が低く脆くなる傾向があり、重要な溶接にはあまり向いていないとされています。そのため溶接継手の要求事項と照らし合わせて、下進か上進を検討することが、非常に重要になります。

一般的に立向姿勢では下向姿勢の20～30%減、上向姿勢では10～20%減の比較的弱めの電流値で溶接します。

「ながし」が可能な溶接材料

① 被覆アーク溶接棒

RB-26

JIS Z 3211 E4313/AWS A5.1 E6013 相当

昭和26年にできた溶接棒で、Rはルチール（Rutile）、Bはスラグシールド系を表します。

軟鋼用被覆アーク溶接棒

用途 ： 軟鋼を用いる鉄道車輌、自動車などの薄板・軽構造物の溶接
棒端色／黒色

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高酸化チタン系（E4313）は化粧棒として知られ、光沢のある美しいビードが特長です。外観を重視する溶接に適しています。スパッタは少なく、スラグかぶり・はく離が良好。溶込みが浅く、特に立向下進溶接を主体とする薄板、軽構造物の溶接に最適です。

棒径 （mmφ）	棒長 （mm）	下向／立向下進 （A）	立向／上向 （A）
1.6	250	20～45	20～45
2.0	300	30～65	30～65
2.6	350	45～95	45～95
3.2	350	60～125	65～125
4.0	400	105～170	100～150
5.0	400	150～220	125～190

LB-26V

JIS Z 3211 E4948/AWS A5.1 E7048 相当

世界で初めて開発した立向下進専用棒！
VはVertical Down（立向下進）を示します。

軟鋼～550MPa級鋼用被覆アーク溶接棒

用途 ： 造船、建築、橋梁などの溶接
識別色／青色　二次着色／緑色

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立向の能率向上目的に開発された立向下進専用の低水素系溶接棒です。かつて造船で多く使用されました。スラグは自然はく離し、溶着金属の耐割れ性、機械的性質も良好です。立向上進に比較して高電流が使用できるので作業能率が向上します。

棒径 （mmφ）	棒長 （mm）	下向／立向下進 （A）	立向／上向 （A）
3.2	400	75～135	110～160
4.0	450	110～185	140～210
4.5	450	150～220	180～240
5.0	450	190～260	220～270
5.5	450	220～300	260～330

（立向下進） LB-26V