溶接を行うことにより、その部分に熱影響部ができたり、複雑な残有応力が残ったり、形状的・強度的な不連続部ができたりします。
そのような部分が1か所に集中すると、これらの現象が重なり合い、構造物の信頼性を損なうことになります。右図をご参照ください。
溶接部にモーメントがかかるような場合、その力の方向を考えて溶接部を決めて下さい。できれば、溶接部2か所で力を受けるような設計が必要です。
右図をご参照ください。
コーナー部や板厚の異なる大きな段差の継手には、応力集中が発生します。応力集中がおこると小さな力でも構造物が破壊されることがあります。板厚の異なる継手の場合には、右図のように厚い側にテーパーを取って溶接して、応力集中部がでないようにしましょう。
溶接熱によるひずみは鋼の膨張・収縮によって起こるものです。ある意味、避けることができません。したがって、製作中にひずみが起きない工夫をして、溶接しなければなりません。
「逆ひずみを取る」「力ずくで抑え込む」「溶接の順序を変える」など、色々な方法を用いて、ひずみが発生しないようにします。
タック(仮付け)溶接は軽視されがちですが、非常に重要な作業です。注意点としては、
・本溶接と同じ技量の溶接者が行う
・本溶接と同じ予熱温度で溶接する
・タック溶接部は裏はつりで完全に除去する
・タック間隔は板厚の15~30倍程度とする
・応力集中部は避ける
などがあります。
主な溶接法の種類は、右に示す4つが挙げられます。どの溶接法を適用するかは、構造物の種類、鋼種、板厚、保有設備、溶接者の技量などを考慮して選択します。最終的には、品質と能率のバランスをどうとるかにかかっています。
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