近年、レーザ機器の利用が進み、アーク溶接に関わる、ロボットなどの自動化設備やラインでも位置や形状のセンサなど様々な部位に用いられるようになっています。一方でレーザ光線による労働者の障害を防止するため、以前から厚生労働省より「レーザ光線による障害防止対策要綱」(以下、要綱)が策定され、現在では「JIS C 6802 レーザ製品の安全基準」のクラス分けに応じた安全衛生上の処置に改められています。
「JIS C 6802 レーザ製品の安全基準」は国際電気標準(IEC)をもとに定められており、レーザ製品をその危険度に応じて、現在ではクラス1,1M,2,2M,3R,3B,4の7つのクラスに分類しています(表1)。昨今では日常よく使用する製品にもレーザ機器の「警告ラベル」、クラスを示す「説明ラベル」のシール(図1)を見かけるようになりました。
クラス | 危険性の概要 |
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クラス1 | 本質的に安全 |
クラス1M | 低出力(波長302.5~4000nm)。 ビーム内でレンズなど光学的手段を用いて観察すると、危険な場合がある。 |
クラス2 | 可視光で低出力(波長400~ 700nm)。 通常目の嫌悪反応によって目の保護がなされる。 |
クラス2M | (クラス2と同じだが) ビーム内でレンズなど光学的手段を用いて観察すると、危険な場合がある。 |
クラス3R | 可視光ではクラス2の5倍以下、不可視光ではクラス1の5倍以下の出力。 直接ビーム内を観察すると危険となる場合がある。 |
クラス3B | 0.5W以下の出力。直接ビーム内を観察すると危険。 |
クラス4 | 0.5Wを超える出力。危険な拡散反射を生じる可能性がある。 これらは皮膚障害や火災を発生させる危険がある。 |
注) nm: ナノメータ=10-9m |
安全衛生上の処置において、特に注意したいのは、比較的出力の小さいクラス1、クラス2であっても条件によって目に危険となる場合があるとされるクラス1M, 2Mのレーザ機器であり、レンズなどを用いて観察する場合に限られるものの、点検・整備や安全衛生教育の処置が必要となります。
また高性能な形状センサなどに用いられるクラス3Rのレーザ機器では、波長によって400nm~700nmの物についてクラス3B、クラス4と同様、管理者の選任や遮蔽、警報装置、保護メガネの着用などの処置が必要となります。
レーザ機器に限るものではありませんが、今後も製品、技術の動向や国際規格の改訂などにより、分類や求められる安全衛生の処置は変化していくものですので、規格や要綱などについては最新のものをご確認ください。