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TIG溶接は、決して能率の良い溶接法ではありません。単位時間に着く溶接量(溶着速度)が求められる時に使うものではありません。
しかし、溶込みの深さ、ビード外観、低スパッタなどが優れ、「きわめて良好な機械的性質が得られる」「ほとんどの金属に適用できる」など、品質に関し、TIG溶接にまさるものはないと考えられています。
TIG溶接はパイプの裏波溶接に用いられます。ステンレス鋼の裏波溶接をするときは、裏側にもアルゴンガスを流し、裏ビードの表面が酸化しないようにします。これを「バックシールド」と言います。*
なお、炭素鋼の溶接ではバックシールドを行わない場合が多いようです。
*当社ではバックシールド不要のTIG溶接用フラックス入り溶加棒「TG-X」シリーズをラインナップしています。
TIG溶接は、トーチに装着したタングステン電極がアークを発生させます。
タングステン電極の先端部は使用中形状が劣化するため、アークの集中が悪くなります。そこで、タングステンの先端部は、常にグラインダなどで研いでおく必要があります。
一般に、トーチから流すアルゴンガスの流量は5~ 12L/min程度です。
流量を増加させると、かえってシールドが悪くなって、空気を巻き込んでビードが酸化したり、ブローホールが発生することがあります。