知恵袋コーナー

建築鉄骨溶接ロボット型式認証制度

日本の建築鉄骨は継手の仕様が建築工事標準仕様書6鉄骨工事(JASS6)などで決められているため、建築鉄骨で使われる溶接ロボットは「一般的な溶接ロボットとは異なり、予め、鋼種、溶接姿勢、溶接条件、溶接ワイヤ、シールドガス、ルート間隔、積層方法などの基本仕様をロボットメーカにて決めた状態で使用される溶接ロボット」*1)と位置づけられています。

建築鉄骨溶接ロボット型式認証制度とは、人の溶接でいう溶接部の性能に対する技量資格(代表的なものとしてJIS、AW検定などが存在)に対応する制度であり、「基本仕様範囲で型式認証委員会が実施する型式認証試験に合格した溶接ロボット型式に認証書を発行して、安心して使ってもらえるようにする制度」*1)として、型式認証試験および認証は(一社)日本ロボット工業会の規格((一社)日本溶接協会との共同規格、JARAS1012╱WES8703, JARAS1013╱WES8704)に基づいて人の技量試験同様に溶接部の性能確認試験が実施されます。ロボットメーカは申請する仕様範囲に対して、型式認証委員会が実施する型式認証試験(溶接部の外観や機械的性能の確認)を受験し、合格することで認証を得ることができます。

当社グループではARCMAN™で溶接部位・ソフトウェアの種別に応じて20 種、コベルコROBOTiX（株）石松 では各機種の合計で24種を取得し、鉄骨ファブリケータの皆様にお使いいただいております。


表1 ロボットの型式認証 試験種目*1)
表1 ロボットの型式認証 試験種目*1)


表2 ロボット型式認証 メーカ申請項目*1)
表2 ロボット型式認証 メーカ申請項目*1)


写真1　認証書例
写真1　認証書例



表3 ARCMAN™の型式認証取得状況(一部抜粋)*2)

株式会社神戸製鋼所　建築鉄骨溶接ロボット認証型式一覧2020.8.28

製品機種
（区分）		 認証記号 鋼材 継手の部位 溶接姿勢 板厚 ﾙｰﾄ
間隔		 開先
角度		 溶接ワイヤ
(種類，径）		 ｼｰﾙﾄﾞ
ｶﾞｽ
(種別)		 ｴﾝﾄﾞﾀﾌﾞ 入熱・
パス間温度		 特記事項 新規審査/
実績審査		 認証回 登録期間
アークマンＭＰ
（多関節型）		 R20828N03DPFS095 490N/mm2
400N/mm2		 通しダイアフラ
ムと梁フランジ
継手		 下向 9mm～
40mm		 4mm～
10mm
（ﾃｰﾊﾟ
ｷﾞｬｯ
ﾌﾟ）		 35° 種類：
YGW11，
YGW18
径：1.2mm		 CO2 ｽﾁｰﾙﾀﾌﾞ 入熱：
≦40kJ/㎝
パス間温度：
≦350℃		 パルスアーク溶
接（メーカ呼称：
「REGARC™」）
を適用		 新規
審査		 第30回 2020年
8月28日-
2023年
8月27日
アークマンＭＰ
（多関節型）		 R20828N03DPFF096 490N/mm2
400N/mm2		 通しダイアフラ
ムと梁フランジ
継手		 下向 9mm～
40mm		 4mm～
10mm
（ﾃｰﾊﾟ
ｷﾞｬｯ
ﾌﾟ）		 35° 種類：
YGW11，
YGW18
径：1.2mm		 CO2 代替タブ 入熱：
≦40kJ/㎝
パス間温度：
≦350℃		 パルスアーク溶
接（メーカ呼称：
「REGARC™」）
を適用		 新規
審査		 第30回 2020年
8月28日-
2023年
8月27日
アークマンＭＰ
（多関節型）		 R100730N03SDFN072 490N/mm2
400N/mm2		 角形鋼管と通し
ダイアフラム継
手		 下向 9mm～
40mm		 4mm～
10mm
（ﾃｰﾊﾟ
ｷﾞｬｯ
ﾌﾟ）		 35° 種類：
YGW11，
YGW18
径：1.2mm		 CO2 なし 入熱：
≦30kJ/cm
パス間温度：
≦250℃		 鋼管複数継手同
時溶接（同時に
溶接可能な継手
数：1および2）
パルスアーク溶
接（メーカ呼称：
「REGARC™」）
を適用		 新規
審査		 第14回
【更新】		 2019年
7月30日-
2022年
7月29日
アークマンＭＰ
（多関節型）		 R100730N03CDFN073 490N/mm2
400N/mm2		 円形鋼管と通し
ダイアフラム継
手		 下向 9mm～
40mm		 4mm～
10mm
（ﾃｰﾊﾟ
ｷﾞｬｯ
ﾌﾟ）		 35° 種類：
YGW11，
YGW18
径：1.2mm		 CO2 なし 入熱：
≦40kJ/㎝
パス間温度：
YGW11≦
250℃
YGW18≦
350℃		 鋼管複数継手同
時溶接（同時に
溶接可能な継手
数：1および2）
パルスアーク溶
接（メーカ呼称：
「REGARC™」）
を適用		 新規
審査		 第14回
【更新】		 2019年
7月30日-
2022年
7月29日
アークマン
RON
（多関節型）
アークマンＭＰ		 R060424N03PPVF054 490N/mm2
400N/mm2		 柱と梁フランジ
継手		 立向 16mm～
40mm		 4mm～
10mm
（ﾃｰﾊﾟ
ｷﾞｬｯﾌﾟ		 35° 種類：
YGW11，
YGW18
径：1.2mm		 混合
ガス		 代替タブ 入熱：
≦90kJ/cm
パス間温度：
≦250℃		 なし 新規
審査		 第12回
【更新】		 2018年
4月24日-
2021年
4月23日
アークマン
RON
（多関節型）
アークマンＭＰ		 R060424N03PPVS055 490N/mm2
400N/mm2		 柱と梁フランジ
継手		 立向 16mm～
40mm		 4mm～
10mm
（ﾃｰﾊﾟ
ｷﾞｬｯﾌﾟ		 35° 種類：
YGW11，
YGW18
径：1.2mm		 混合
ガス		 ｽﾁｰﾙﾀﾌﾞ 入熱：
≦90kJ/cm
パス間温度：
≦250℃		 なし 新規
審査		 第12回
【更新】		 2018年
4月24日-
2021年
4月23日


表4 石松 の型式認証取得状況(一部抜粋)*2)

コベルコROBOTiX株式会社　建築鉄骨溶接ロボット認証型式一覧2020.7.8

製品機種
（区分）		 認証記号 鋼材 継手の部位 溶接
姿勢		 板厚 ルート
間隔		 開先
角度		 溶接ﾜｲﾔ
(種類，径）		 ｼｰﾙﾄﾞ
ｶﾞｽ
(種別)		 ｴﾝﾄﾞ
ﾀﾌﾞ		 入熱・
パス間温度		 特記事項 新規審査/
実績審査		 認証回 登録
期間
石松 IR-
700REG/900REG/
110REG
（可搬簡易型）		 R180402N01DPFS091 490N/mm2
400N/mm2		 通しダイアフラム
と梁フランジ継手		 下向 9mm～
40mm		 4mm～
10mm
（ﾃｰﾊﾟ
ｷﾞｬｯﾌﾟ）		 35° 種類：
YGW11,
YGW18
径：1.2mm		 CO2 ｽﾁｰﾙ
ﾀﾌﾞ		 入熱：
≦40kJ/㎝
パス間温度：
≦350℃
※YGW11は
400N/mm2　限定		 R010524N01DPFS004に
準ずるもので、ﾊﾟﾙｸｱｰｸ
溶接（ﾒｰｶ呼称：
「REGARC™」）を適用
・無線ティーチングボック
スの適用可		 新規
審査		 第29回 2020年
7月8日-
2023年
7月7日
石松 IR-
700REG/900REG/
110REG
（可搬簡易型）		 R180402N01DPFF092 490N/mm2
400N/mm2		 通しダイアフラム
と梁フランジ継手		 下向 9mm～
40mm		 4mm～
10mm
（ﾃｰﾊﾟ
ｷﾞｬｯﾌﾟ）		 35° 種類：
YGW11,
YGW18
径：1.2mm		 CO2 代替
ﾀﾌﾞ		 入熱：
≦40kJ/cm
パス間温度：
≦350℃
※YGW11は
400N/mm2　限定		 R010524N01DPFF003に
準ずるもので、ﾊﾟﾙｸｱｰｸ
溶接（ﾒｰｶ呼称：
「REGARC™」）を適用
・無線ティーチングボック
スの適用可		 新規
審査		 第29回 2020年
7月8日-
2023年
7月7日
石松 IR-
700REG/900REG/
110REG
（可搬簡易型）		 R180402N01PPFS093 490N/mm2
400N/mm2		 柱と梁フランジ
継手		 下向 9mm～
40mm		 4mm～
10mm
（ﾃｰﾊﾟ
ｷﾞｬｯﾌﾟ）		 35° 種類：
YGW11,
YGW18
径：1.2mm		 CO2 ｽﾁｰﾙ
ﾀﾌﾞ		 入熱：
≦40kJ/cm
パス間温度：
≦350℃
※YGW11は
400N/mm2　限定		 R010524N01PPFS006に
準ずるもので、ﾊﾟﾙｸｱｰｸ
溶接（ﾒｰｶ呼称：
「REGARC™」）を適用
・無線ティーチングボック
スの適用可		 新規
審査		 第29回 2020年
7月8日-
2023年
7月7日
石松 IR-
700REG/900REG/
110REG
（可搬簡易型）		 R180402N01PPFF094 490N/mm2
400N/mm2		 柱と梁フランジ
継手		 下向 9mm～
40mm		 4mm～
10mm
（ﾃｰﾊﾟ
ｷﾞｬｯﾌﾟ）		 35° 種類：
YGW11,
YGW18
径：1.2mm		 CO2 代替
ﾀﾌﾞ		 入熱：
≦40kJ/㎝
パス間温度：
≦350℃
※YGW11は
400N/mm2　限定		 R010524N01PPFF002に
準ずるもので、ﾊﾟﾙｸｱｰｸ
溶接（ﾒｰｶ呼称：
「REGARC™」）を適用
・無線ティーチングボック
スの適用可		 新規
審査		 第29回 2020年
7月8日-
2023年
7月7日
石松 IR-700
（可搬簡易型）		 R170626N01SSHA088 490N/mm2
400N/mm2		 角形鋼管柱と角
形鋼管柱継手		 横向 25mm～
40mm		 4mm～
10mm
（平行
ｷﾞｬｯﾌﾟ）		 35° 種類：
YGW18
径：1.2mm		 CO2 なし 入熱：
≦30kJ/㎝
パス間温度：
≦250℃		 ●ビード継目部につい
ては、「処理あり」で認証
する
●表層の溶融プールの
たれ防止の為、セラミッ
クス材を貼付すること
●ロボット２台の対面
溶接とする
●１層溶接後にエレク
ションピースの「建て入
れ調整治具」を取り外す
方式とする		 新規
審査		 第23回 2020年
6月26日-
2023年
6月25日


参考文献

*1) 一般社団法人日本ロボット工業会　「建築鉄骨溶接ロボット型式認証制度について」
URL:https://www.jara.jp/system/kenchiku/img/format_kenchiku_002-system.pdf
*2) 一般社団法人日本ロボット工業会　「会社別建築鉄骨溶接ロボット型式認証機種」
URL:https://www.jara.jp/system/kenchiku/detail.html
（株）神戸製鋼所　溶接事業部門　
技術センター　溶接システム部　
川西　晋平


PAGE TOP